健哲です。しぜんAクラス、最初のブログとなります。どうぞよろしくお願い致します。
2学期初日の授業。
夏休みの充電を経てか、5人とも元気一杯です。
「しぜん日記」は、F.Y君が書いてきてくれました。
「きょう、あおはなむぐりがうまれました。」
それから、恐竜たちの絵や、なんと私とあきら先生の似顔絵を描いてきてくれました!
今回の日記は彼だけでしたが、このクラスはみんな絵が大好きで、生き生きとしたしぜん日記をたくさん書いてきてくれます。
ここで、1学期の終わりに集まった日記を、絵を中心にご紹介します。
********************************
発芽から見守ってきた朝顔は青い花を咲かせました(F.Y君)。
やもりの咽の様子、乾くと目をなめること、体長まで測って調べてくれました。
小さいので8.5cm、大きいので 11.5cmくらいだったそうです。図鑑さながら(F.Y君)。
「ちかくのたんぼでざりがにをつかまえました」大迫力。重量感が伝わってきます(T.Y君)。
「…うまれたてだし、かわいかったです」友達と捕まえたてんとう虫(T.Y君)。
絵もさることながら、しっかりとした文章で見たもの、感じたこと、調べたことなどを伝えてくれる日記。文章は用紙の裏側に及ぶ事も(A.Y君)。
U君は、高学年になっての忙しさもあるのでしょう。暫く日記から遠ざかっていますが、前年度までの日記ファイルは、絵も文章も大変立派なものです。
********************************
これらをみんなに紹介しながら返却しました。
やもりの話題が出ると、みんな一斉に飛びつきます。
「ぼくもやもり見たで!(A.Y)」
「ぼくも!窓に張り付いてた!(T.Y)」
「うちの中、やもりだらけ…。(U)」
「ほんとう!?ところで、ヤモリって、漢字ではどう書くでしょう?」
みんな必死に考えています。ヒントはみんなが口にした言葉の中にあること、「モリ」が「守」であることを伝えると、ようやく答えに辿り着きます。みんなの家がしっかりと守られている事が分かりました。
続いて「イモリ」の漢字を、ヤモリとの生態の違いとあわせて紹介し、ついでにテントウムシの漢字もクイズに出しました。
「点頭、かなあ・・・(U)」
「なるほど、それもありそうだよね。ヒントはほら、今日眩しく照っている…」
「太陽!」
「そう!だけど、違うなあ…」
「ひ!」
「にち!」
「あれあれ、テントウはどこ行った?(苦笑)」
「おてんと(う)さま」という響きは特に1年生には耳慣れないようでした。
天道虫。天を司る神様の虫。小さくして、実に壮大な名前です。
最後にU君が「七星天道虫」と書いて見せてくれました。「漢字で書くとカッコいいねえ…」と私が感心すると、「え〜、カタカナの方がカッコいい。」とT.Y君。感性は様々です。
「さあ、今日は外に出て何しようか。」
「森の奥に、涼しくて気持ちよさそうな場所があった…。」とU君。
瞬時に5人の気持ちが一つとなります。筆箱、水筒、思い思いの装備を纏って、いざ出発です。
「じゃあみんな、U隊長に続こう!」
眩しく光る園庭へ駆け上がると、まずは地球儀で5周6周回ります。
「あ!バッタ!」いつの間にか同乗していた10cm程もあるショウリョウバッタをみんなで覗き込みます。音を立てて、バッタが飛び去ります。
H君が一言。「バッタが跳ぶと 大地が揺れる…!」
地球の周回軌道から飛び出し、森の奥へ続く一本道を、みんな駆ける駆ける!
「おーい!みんな待って〜!気をつけるんだよ!」列の前後で差がつき過ぎないよう、注意を促します。
「みんなが走ると 大地が揺れる…!」H君がまた、うたいます。
駆けながらも、みんなの目は何かをキャッチし、「あ、今なんかおった!」などと叫んでは時々立ち止まります。「あ、せみ落ちてる。」それは透き通った羽根を持つクマゼミの亡骸でした。「大阪では、アブラゼミの方が珍しいんだってさ。」クマゼミの異常発生の事をT.Y君が教えてくれます。
すばしこい1年生達に追いついて、ようやく隊長と広場に辿着きました。何とも言えない静けさと心地よさです。「あ、どんぐり!」帽子を被った、まだ青いドングリをみんなで拾います。(後になって育子先生のダイアリーを見て気がつきましたが、これらを落としたのは「ハイイロチョッキリ」のしわざだったようです。)「ほら、スペード!」A.Y君が落ち葉の形を発見します。
「さあ、ここから先、どうしようか。進んでみる?」
「この先はあんまり行った事がない…」不安げに隊長が言います。
「よし、じゃあ、探検しよう!」
選ばれたのは南側へと下りる、つづら折りの急な坂道です。ここでも一年生達が道を切り開いてゆきます。ズルズルと滑り、木に掴まりながら、果敢に急な勾配に挑みます。道すがら「うわ、でっかいキノコ!」「ここ、かぶと絶対いそうやわ〜」等と発見を報告し合います。
にわかに、見覚えのある沢が眼下に広がりました。1学期に、別の道から来たことがあったのです。小川の様子を観察しながら、上流へと向かいました。
「あ、カエル!」と叫んだのはF.Y君。素早く手を伸ばして手に取ったのは、よく目を凝らさないと見つけられないような、小さな黒っぽい蛙です。指先につまんだ蛙から、一時も目を反らさずに、持ってきた筆箱の中に入っているビニール袋を取り出すよう、私にお願いした時の彼の横顔は、忘れられないものです。その眼差しには、彼の気持ちの全てが表れていました。
私にとっては、判断を迫られる瞬間でした。しぜんのいきものをありのままに可愛がる事(つまり逃がしてやること)を伝えることが正しいのか、観察するために持ち帰って良いとすることが正しいのか。瞬間に色々な思いが渦巻きましたが、彼の生き物に対する並々ならぬ愛着と好奇心、それがどこまでも、私の胸に押し寄せてくるのでした。私はそれを信じることにしました。
それに、蛙を手にした瞬間から既に、彼自身の中に葛藤の兆しが見えているように感じられたのです。彼には「まずは蛙が気持ち良いと思う環境を作ってあげよう。そしてじっくり観察した様子をまた、教えてね」と約束し、「十分に観察が済んだとき、いつかまた元の沢に逃がしてやるのもよいかもしれないね」と、提案するに留めました。
触れることでしか体験できない蛙の躍動、息遣い。それらはきっと、彼自身の中に生き続けてくれることでしょう。
その後、それぞれが、沢の中の「気持ちが良い場所」を自発的に見つけ、知らせてくれました。
「ここに立つと気持ちいいよ!」盛り上がった白砂の上に立つと、沢の両側が一望できます。
「ここだけ明るいよ!」木漏れ日に羊歯が透き通り、その場所だけが鮮やかに光っています。
「こうするとめっちゃ気持ちいい…。」とU君が、小川の中から突き出した丸い岩に両手を置くと、透き通った流れが手の甲をなめらかに包み込み、見るからに心地よさそうです。いつまでもいつまでも、名残惜しそうに、手を浸し続けているのが印象的でした。
各々、色々な場所で手を浸してみたり、口に含んでみたり「小川に触れる」ということだけでも、色々な感じ方や発見があったようです。
最後はバプテスト病院前の道を抜け、坂道を駆けて、西日に眩しく光る園庭に帰ってきました。
肌を刺す日差しと、蝉の合唱。ひんやりと透き通る青空。
最後の夏を、みんなで噛みしめた一日でした。
詳細で心のこもった記事をありがとうございました。生き生きした子どもたちの様子が手に取るように伝わってきます。一人一人の子どもにとって、きっと、あっというまに時間が経つのでしょう。しぜん日記は奥が深いと感じます。そこには、子どもたちの心が籠もっています。丁寧に、子どもたちの心とつきあって下さっているお姿に脱帽です。