福西です。
最初の時間では、ウォーミングアップとして、「天秤算」をしました。
天秤が1つだと単なる足し算引き算に終わるのですが、2つ、3つになると、連立方程式を解くのと同じ困難さがあって、一筋縄ではいきません。(ちなみにここでは連立方程式のテクは使いません)。
他のパズルと同じで、こうだからこうと理屈で考えていきます。登り口の多い登山と似ていて、どこから着目して解いていってもよく、順序だっておもりの重さ(未知数)を決定していきます。そして最終的な答がばちっと出た時には爽快感があります。自分の着眼点を大事にできるので、改めて良パズルだと思います。(この手の問題は、連立方程式が解ければ意味がない、という人もいますが、実は「ロジック」という別の頭を使う点に意味があります)。
今回は、どの生徒も一問にかける時間が予想外に早く、楽勝ムードでした。これから少しずつステップアップしていくつもりです。
さて、新年最初の授業では、かけ算をベースにした整数論の問題を考えました。(これまでのおさらいです)
第1問
100までの数で次のような数はいくつあるか?
1)2で割り切れる数、3で割り切れる数、・・・10で割り切れる数
2)2でも3でも割り切れない数、3でも5でも割り切れない数、・・・(以下その組み合わせ)、素数
1)は楽勝でした。「割り切れる数」というのは、つまり「倍数」のことです。生徒たちはノーヒントで100÷nの計算を実行して求めていました。(n=2~10)
問題は2)からです。これには色々な考え方があります。もし知っていれば、集合論的に(ベン図を使って)考えるのが一番紛れが少ないのですが、生徒たちは100までの数表を使って、以前やった「エラトステネスのふるい」流に線で消していって、数え上げていました。たぶん、数え間違いがあるだろうと思って見ていたのですが、意外と精度が高く、正確な答を出していることに驚きました。また、100までの素数は、25個です。(これは26と答えている人が多かったです^^)
第2問
1)1×2×・・・×9×10の答に、×2はいくつ含まれるか? また×5はいくつ含まれるか?
2)答の末尾に、0はいくつつくか?
これが今回のメインです。10!(10の階乗)です。大きな数になるので、一見、0がたくさんつきそうですが、じつは次のように考えると、意外な結論が待っています。
1)かけ算は、計算の順序を交換してもよい。
2)×10で、末尾に一つ0がつく。
3)×10になるのは、×10か、2×5しかない。
問題のおぜん立てのところで、
4=2×2
6=2×3
8=2×2×2(これが2が多いですね)
10=2×5
と、因数分解をして、×2の数を求めると、7個あります。
一方×5は、
5=5
10=2×5
と、2個しかありません。
そして、問題となっている「末尾の0の個数」にとっては、×2がいくらたくさんあっても、ペアとなる×5に制限されて、結局×10が作れるのは、×5と同じ分だけ、ということになってしまいます。
つまり、
1×・・・×10
=1×3×4×6×7×8×9×2×5×10
なので、0は2つしかつきません。
( 10!=3628800)
よって、次の結果が得られます。
「階乗は、因数分解して5の個数だけ末尾に0がつく」
これをよく理解してくれた生徒たちには、次に20!や100!についても考察してもらいました。
20!=2432902008176640000
100!=9.3326・・・× 10157
関数電卓を使っても、さすがに最後の100!は末尾の情報が隠れてしまっています。ですが、×5の数を数えると、簡単です。
まず、本当かどうか自信を持つために、20!から。
それについては、5、10、15、20と、4つ。つまり、末尾の0は4つ。なので実際と合っています。
では、×100!についても同様に考えてみます。
ただ、「同様に」とは言いましたが、うっかり落とし穴(なまじ法則を当てはめた時の怖さ^^)があります。
単純に5の倍数だけで数えると、100までのそれは「20個」あります。しかし問題は×5という「因数」の個数です。つまり、20+αがあります。
25=5×5
50=5×5×2
100=5×5×2×2
ここで、5がだぶっていることに注意すると、20+3=23。よって、100!は、「末尾に0が23個つく」のが正解です。