登場人物紹介を兼ねた第1章を昨年のうちに終えていたので、今日から第2章に入りました。
誕生日なのにヴァーノンおじさんから商談があるので部屋で大人しくしているように言われたハリーがベッドの上に見たものは、ドビーというハウスエルフでした。どうやら魔法使いの家でのお手伝いさんのような存在のようです。このドビーは普段ひどい扱いを受けていると見えます。というのもハリーが”Sit down”と言っただけで、同等に扱われたと感激していたからです。
そうした事情からドビーは自分が仕えている家族のことを悪く言いかけたので、自らを罰しようとしました。オーブンのドアで耳をはさむというのがその罰のようです。もしかするとオーブンのドアなら多少のすきまがあったりして耳をけがしたりするほどのことはないのかもしれません。
Dobby is always having to punish himself for something, sir. They lets Dobby get on with it, sir. Sometimes they reminds me to do extra punishments …
それにしてもドビーは気の毒です。いつも自分を罰しなければならず、時にはさらなる罰を言い渡されるのですから。その途中の”They lets Dobby get on with it”の部分の意味が取りづらかったです。get onを「急ぐ」と取るなら「彼ら(ドビーが仕えている家族の人たち)はドビーを(オーブンで耳をはさむことに関して)せかすんだ。」くらいになります。
これを聞いたハリーは自分のほうがまだましだと思い、何かできないかと申し出ます。そうするとドビーは感激の雨あられです。
そもそもなぜドビーがハリーのもとを訪ねたのかというと、ハリーにホグワーツへは戻るなと言うためです。ハリーを亡き者にしようという陰謀が存在するとのことです。それでもダンブルドア先生がいるし大丈夫だとハリーが言うと、ドビーはこう言いました。
there are powers Dumbledore doesn’t … powers no decent wizard …
「ダンブルドアが…しない力、まともな魔法使いなら…しない力があるんだ」という意味ですが、…の部分に何を補うかによって多少意味合いが変わります。have, use, matchあたりでしょうか。
ドビーがあまりにうるさくするのでとうとうヴァーノンおじさんがハリーの部屋まで様子を見に来ました。ひどい怒りようです。最後にはこのように言いました。
one more sound and you’ll wish you’d never been born, boy!
雰囲気で訳すなら「これ以上ちょっとでも音を立てたらこの世に生まれたことを後悔させてやるぜ!」くらいです。丁寧に訳すなら、「’d」はその後に過去分詞形が続いていることからhadだと捉え、wishが仮定法表現を目的語に取ることに注意して、「これ以上ちょっとでも音を立てたら、自分が生まれてこなかったほうがよかったと思うことになるだろうよ!」といったところになります。I wish I were a bird.がI am a bird.というあり得ないことを願っているのと同じように、You wish you’d never been born.はYou were not born.というあり得ないことを願っています。仮定法なので形上、時制が一つ古くなります。wishだろうがwill wishだろうがそれは変わりません。
こちらの世界ではこのような有様なので、ハリーはホグワーツに戻ると主張します。ドビーは実は友人からの手紙を止めてまでハリーがホグワーツに戻ることを阻止しようとしていたのですが、ハリーの決意は揺るぎません。そのせき止めた手紙を今もドビーが持っていることが判明すると、ハリーは必死でそれを回収しようとします。
その流れでキッチンまで行き、ドビーはハリーの決意が揺るがないと悟るとそこにあったプリンを魔法でひっくり返して消え去ります。このあたりの描写にはデザートを思い起こさせるような単語がちりばめられていて、よく読むと楽しいです。ハリー・ポッターシリーズにはこうした縁語の使用が多々見られるそうです。
残されたハリーは大変で、ヴァーノンおじさんから厳しく叱られるわ、ペチュニアおばさんから掃除はさせられるわ、ドビーが使った(と思われる)魔法のとばっちりで魔法界からおしかりの手紙を受けるわで踏んだり蹴ったりです。魔法を使ってはいけないことがばれたハリーは、その後部屋に閉じ込められることになります。
ここで今回は終了となりました。次回はどうなるのでしょうか。