かず4年B(1214)(2)

福西です。前の記事の続きです。

 

問題文

運動場に三人の男子がいます。彼らは、ベン、アダム、カイという名前です。ただ、はじめて見るあなたには、だれがだれだか分かりません。そこで、つぎのように彼らに紹介してもらいました。

 

  • サッカーをしている男子 「あのバスケをしているのが、カイだよ」
  • バスケットをしている男子「いや、野球をしているのが、カイだよ」
  • 野球をしている男子   「バスケをしているのが、アダムだよ」

 

さて、ベンという名前以外の男子は、かならず正しいことを言っていますが、ベンは必ずうそをつきます。あなたは、三人の名前を言い当てられるでしょうか?

 

 

以下に、生徒たちの解答を挙げます。このクラスでは最初の論理パズルの答案であり、大事に見守っていきたいと考えています。

注:( )内は私からの補足です。

 

 

  • M君の解答

 

サッカーをしている人がベンでバスケットをしている人がアダムで野球をしているのがカイです。

 

サッカーをしているのはアダムの場合はありえない。なぜならサッカーとバスケットの(人の)言葉が正しくなるから、カイが二人いることになるからです。

(つまり、アダムの発言より、バスケはカイ。カイはうそをつかないので、カイの「野球をしているのがカイ」というのも正しくなり、カイは二人いることになるから)

 

サッカーをしているのがカイだった場合、「あのバスケをしているのがカイだよ」とカイは自分で自分のことを言っているから、しかもカイは正直ものだからおかしい。

 

サッカーをしているのがベン

バスケットをしているのアダム

野球をしているのがカイになる。

 

[コメント] 

M君は、「サッカーをしているのは誰か?」に着目して場合分けを完成し(三パターン)、その中で矛盾のない答は惟一つであることを示してくれました。可能性を機械的に網羅すると、その組み合わせは全部で6パターンになってしまいますが、このように一つの着目点を導入することによって、三パターンまで場合分けを減らせることがポイントです。一行目について、矛盾がないことの説明を加えると、より一層証明の完成度は上がるでしょう。それでも簡潔にまとめてくれており、初めて書いたとは思えないような良解答です。

 

 

  • R君の解答

 

もし、野球をしているのがベンだったら、(ベンではないバスケをしている男子は)「野球をしているのがカイだよ。」といって(この発言は正しくなり)、アダムとカイ(サッカーとバスケをしている男子)のどちらかがうそをついているので、むじゅんしています。

(つまり、ベンではないサッカーをしている男子も「バスケをしているのがカイだよ。」と言っており、この発言は正しいはずなので、カイが二人いることになるから)

 

もし、バスケをしているのがベンだったら、(ベンではないサッカーをしている男子は)「あのバスケをしているのがカイだよ。」といって(この発言は正しくなり)、アダムとカイ(サッカーと野球をしている男子)のどちらかが、うそをついているので、むじゅんしています。

(つまり、ベンではない野球をしている男子も「バスケをしているのがアダムだよ」と言っており、この発言は正しいはずなので、バスケをしているのがカイでありアダムであるということになるから)

 

もし、サッカーをしているのがベンだったら、(残りの)二人ともうそをついていないので、これが唯一の答えです。

 

[コメント] 

R君は「ベンは誰か?」で場合分けを完成させて解いてくれています。またR君は、「この問題で特徴的なのは、うそつきが一人であることだから」、と、ベンに注目した理由を述べてくれていました。そして、三人の発言の中に「カイ」という言葉が重複して表れている(つまり両方成立はありえない)ので、その発言者のどちらかが「うそをついている」という見通しを立ててくれています。そして、うそをついているということは、1)その発言者がベンである、あるいは、2)もしベンでなければ矛盾する、のどちらかということになり、それが証明のカギとなっています。同様に、三人の発言の中には、「バスケ」という言葉も重複して表れています。これもR君は見逃さずにカギとして得てくれました。

 

 

  • T君の解答

 

もしアダムがサッカーだったらバスケをしている人の発言がうそをついてるのでだめです。

(つまり、アダムの発言から、バスケをしているのはカイ。そのカイの発言は「野球をしているのがカイ」であり、これはうそになる。一方カイはうそをつけないので矛盾する)

 

もしバスケがアダムなら(アダムがバスケだったら)本当のことをいっている(三人の発言に問題の条件との矛盾はない)のでいいです。

 

もし野球をしているのがアダムだったら(アダムが野球だったら)アダムがうそをついているのでだめです。(アダムはうそをつけない)

 

だからアダムがバスケットです。野球をしている人は本当のことをいっているので野球はカイでサッカーがベンになります。

 

答え バスケットがアダム、野球がカイ、サッカーはベンです。

 

[コメント] 

T君は「アダムは誰か?」で場合分けを完成させてくれています。そして「アダムはうそをつけない」というのが、T君が証明を完成させる方針になっています。つまり、アダムは誰か? をまず仮定し、その発言を最初に読みます。それは「正しいはず」なので、それによってもう一人の情報が得られます。その一人がカイであれば、その発言は正しいはずですし、ベンであればうそになります。こうやって順々に矛盾がないかどうかを洗い出してくれていました。最後に結論をもう一度繰り返して書いてくれていることも良い点です。

 

 

  • Sちゃんの解答

 

もし、野球をしているのがベンだった場合、野球をしている男子の発言がうそになるから「バスケをしているのがアダムだよ。」がうそになるから、バスケはカイになる。それなのにカイは「いや野球をしているのがカイだよ。」と言って自分のことを言っているのでむじゅんしています。

 

バスケをしているのがベンだった場合、「いや野球をしているのがカイだよ。」と言っていてそれがうそになるから、野球はアダムになります。なのに、アダムは「バスケをしているのがアダムだよ。」とうそをつくことになるからおかしい。

 

サッカーをしているのがベンだった場合、「あのバスケをしているのがカイだよ。」と言うのがうそになるからバスケはアダムになります。アダムは野球をしているのがカイだよ。」と言っているので野球はカイになります。カイは「バスケをしているのがアダムだよ。」と言っているので、むじゅんはないからこれが答えになります。

 

[コメント] 

 SちゃんはR君と同じく、「ベンが誰であるか?」に注目して解いてくれました。まず、文章に統一性があり、パターンを抑えているということがよくわかります。また引用の仕方も、繰り返しを嫌わずにきちんと書いてくれています。(物語の表現だと、いかに省略するかが大事なポイントになるのですが、証明では逆に「筋が通ること」が最優先となります)。Sちゃんはこの日、一番最後まで時間をかけて書いてくれていました。その甲斐あっての完成度の高い答案だと思います。こちらからあえて補足することはありません。