かず5年(11/21)

福西です。引き続き、秋学期の最終日の記録です。

 

この日(11/22)は、前の週にした「扉の書」の最後にあった証明問題がいとも簡単に解かれてしまったので、それの条件をもう少し複雑にして、論理パズルとして出しました。

 

問題文

「目の前の4つの箱には、それぞれ赤白黒の玉が2つずつ入っている。そのパターンは赤赤、白白、黒黒、赤黒が1つずつである。もともと箱の外側には中身を示すラベルが貼ってあったが、残念ながら、私が「すべて」その中身と一致しないように貼りかえておいた。

さて、その箱から、ためしに2度まで、玉を1つ取り出してもよい。(ただし中身を見てはいけない。またその玉は1回取るごとに元に戻さねばならない)。そして心ゆくまで考えてから、本番の玉を1つを取り出すのだ。もし白が出れば元の世界に戻れよう。だが赤か黒が出れば、ここに永遠に取り残されるのだ」

 

[箱A] ラベル:赤赤  [箱B] ラベル:白白  [箱C] ラベル:黒黒  [箱D] ラベル:赤黒

 

この問題に対する、生徒たちの解答です。

注:( )は私の注釈です。

 

  • To.君の解答

 

まずBは白白なので白が出てこない。パターンは赤赤・黒黒・白白・赤黒のみだから。

D(のラベル)は赤黒なので赤赤・黒黒・白白なので最初にひく。赤か黒だったら、Dには白はないので(白白は)AかCになる。逆に白がでたらDは白白になる。

A(のラベル)は赤赤なので、黒黒か白白か赤黒なので、黒か赤が出ればAに白はない。逆に白が出れば、Aに白白がある。

C(のラベル)は黒黒なので、赤赤・赤黒・白白なので、赤か黒が出れば、Cに白はない。逆に白が出れば、Cに白がある。

 

結論

まずCをひいて白が出ればCに白白がある。赤か黒が出ればCに白はない。(Cで)赤か黒が出れば次にA・Cをやる。赤か黒が出れば、もう一つの方が白白。逆に白が出ればそこは白白。

 

 

  • Ta.君の解答

 

C=Oとする。(これはTa.君の好みによる定義)

ぼくは、このパズルでは、箱Bは白白となっているが、(ラベルは中身と必ず不一致のため)白白の時は、ぜったいないと考えた。

そしてB以外O、D、A(について)、まずDをためす。Dで赤がでれば、(Dのラベルは赤黒であり、それは「赤黒ではない」ということなので、Dの中身は)赤赤けってい。そしてOをためす。それは、赤赤がないからだ。つまり(Oで)赤、黒が出れば、(Oは赤黒か黒黒と分かるので)本番でAを引けば白をぜったい引ける。

また、Dで黒がでれば、こんどは、Aをためす。そして、赤か、黒を引けば、Oを引けばよい。

また、Dで白がでれば、もう(Dが白白と分かるので)Dを引けばよい。

 

  • Ka.君の解答

 

(箱の中身はラベルと違うものに)すりかえられているからまずBはなくなる。なぜならBのラベルには白白とかいていた。つまり赤赤か黒黒か赤黒になる。つまり白ではない。

2回ひけるのだからAとDをひくとしよう。Aをひいて白がでればAが白白、ちがう色がでればA(が白白という可能性)はきえる。Dで白がでれば白白、ちがう色が出ればCが白白になる。これは仮の話。他の(パターン、すなわちAとC、あるいはCとD)をひいても同じ。(つまり白であるか否かに注目すればよい)

 

 

[コメント]

三人とも、「ラベルがすべて偽である」という点に着目して、条件を整理して解いてくれていました。ポイントは、「白白」というラベルの箱はすなわち「白白」ではないということです。それを貴重な2回の試行から外すことで、残りの3つの箱のうち2つを選び、もしどちらも色の玉が出たら「白白」は残った一つの箱、そして白が出たらすなわちその時点でその箱が「白白」である、という結論に達しています。

 

さて、上の証明では、「白」の入った箱のパターンが「白白」以外にはないところに、ある意味問題の単純さがありました。そこで、「赤白」や「黒白」という箱も含まれる場合、どうなるか? ということを、残った時間で考えました。

 

たとえば、

[箱A] ラベル:赤白  [箱B] ラベル:白白  [箱C] ラベル:黒黒  [箱D] ラベル:赤黒

(ただし中身はラベルにある4パターンの入れ替えで、ラベルと中身が一致する箱はないものとする)

 

とした場合、本番の前に試しに引く回数は、最低何回必要でしょうか。2回? あるいは3回? それとも何回試行しても、100パーセント「白白」を選ぶ方法はないでしょうか。

 

たとえば「赤白の中身の箱から白をずっと引き続ける可能性」は、0パーセントではありません。すなわち同じ箱から白が百回出るからと言って、それが「白白」だと思い込み、実は「赤白」だった、ということがありえます。そして赤白からは白を引く可能性は50パーセントなので、これは運任せの方法となってしまいます。完全に「白白」を決定するのでなければ、完全な解答にはなりません。そして、そのために必要な試行回数は何回でしょうか? ということを考える必要があります。

 

授業では、おそらくそれは「2回か3回であろう」という予想を立て、そして最初の問題では選択肢から外していた「白白」のラベルの箱(ここではBの箱)を開ける必要があることを考察しました。つまり、Bの箱の中身が「白白でない」ということは、「もしBから白が出れば、すなわちBは赤白である」(なぜなら赤白か赤黒か黒黒だから)、ということで、赤白を見抜くことができる、ということを考えました。

 

この手の問題で、どのようにひねれば、もっと難しくできるか? と考えることも、面白い問題であろうと思います。