現代社会の「安らぎ」について考えるクラス
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テキスト:ベナー/ルーベル『現象学的人間論と看護』(難波卓志訳、医学書院)
【講師のメッセージ】
このクラスでは、現代社会を考えるにあたってヒントとなるような著作を輪読してきました。
これまで、ミシェル・フーコー『監獄の誕生』、『安全・領土・人口』を読みました。
2025年度は、ベナー/ルーベル『現象学的人間論と看護』を読みます。西洋近代思想は自由で独立した個人を中心としていましたが、近年語られるようになったケアの思想では、新たな人間観として他者への責任や関係性が重視されています。
ベナーとルーベルは、ケアの思想を現象学と結びつけて論じました。人間は世界にある道具や他者を、自分の意識や身体を介して認識しているとするのが現象学ですが、医療ケアにおいては、患者が世界と取り結んでいる固有の世界、日常性を回復することを目的とします。
ケアの目的は「安らぎ」であり、「安らぎ」とは「人が何か・誰かを気遣うとともに、自分が誰かから気遣われていると感じること」とされます。人間は相互にケアをしあう存在だとするケアの思想について、一緒に考え議論する機会になればと思います。