西洋の児童文学を読むB 春学期の振り返り

ことば1年、ことば2-3年、ことば4-5年、西洋の児童文学を読むBを担当しております、加藤千佳です。

春学期が終わったので、それぞれの授業について振り返り、秋学期の予定についてもまとめています。

※よろしければ、こちらの記事もぜひご覧ください

ことば1年 春学期の振り返り (kitashirakawa.jp)

ことば2-3年 春学期の振り返り (kitashirakawa.jp)

ことば4-5年 春学期の振り返り (kitashirakawa.jp)

今回は、西洋の児童文学を読むBでの春学期の取り組みについて、私の感想を交えつつお話しさせていただこうと思います。

_____________________________________

L・M・モンゴメリの『赤毛のアン』(村岡花子訳)を読了し、同シリーズの『アンの愛情』(同じく村岡花子訳)を読んでいます。

『アンの愛情』では、アンが大学進学のために、故郷・プリンス・エドワード島を飛び出して、キングスポートという港町に引っ越します。新しい街、新しい家、新しい学校、新しい仲間たち――真新しさで溢れたアンの大学生活はとても眩しく、喜びと発見に溢れています。

前任の福西先生も少し触れてくださっていますが(→『赤毛のアン』の次は、『アンの愛情』を読みます(西洋の児童文学を読むBクラス) (kitashirakawa.jp))、その中でも、幼馴染のギルバートとの淡い恋模様は注目必至。

春学期で一番盛り上がったのも、ギルバートとアンの恋の行方――と言いたいのですが、実はアンの友人であるジェーン・アンドリュースの兄・ビリー・アンドリュースによる突然の求婚事件が、話題をさらってしまいました。

ビリーは、なんと妹のジェーンを通して、「結婚してほしい」ということをアンに伝えてきたのです。しかも、大学を卒業するまで待ってやるという、何だか居丈高な態度。初めての求婚は、絶対ロマンチックなものにしたいというアンの淡い希望は、見事に裏切られてしまいます。

怖気づいてしまったビリーの気持ちも分かるけれど、少なくとも妹を通して求婚するのはさすがにちょっとあり得ない……。ジェーンとアンの友だち関係がぎこちなくなってしまう可能性もあるのに、もうちょっと配慮できないの?

ということで、受講生のIさんともども、アンにすっかり同情してしまいました。

さらにその次の回も、幼馴染のチャーリー・スローンからの「スローン夫人になると約束してくれるか?」という、ロマンチックさの欠片もない求婚がメイン。ギルバートとの恋は、いつになったら進展するのでしょうか(実は最後の方まであまり進展しません)。

ところでIさんには、「『アンの愛情』にはすごいハンサムが出て来るよ!」とお伝えしていたのですが、いつになっても出てこないので、「いつになったら出て来るの?」としばしば質問をもらっています(こちらも、実は最後の方まで出て来ません)。

秋学期も、感想を共有しながら楽しく読み進めていきたいと思いますが、秋学期の最初は、哀しい事件のお話から始まります。それは、幼馴染のルビー・ギリスの死です。

春学期の終わりに読んだ章では、ルビーが奔馬性(急激に悪化する)肺結核で、余命いくばくもないということが書かれていました。ませていて、恋愛の話が大好きなルビーには、複雑な感情を抱くこともあったアンですが、やはり大切な友だちが病に侵された姿には、深く傷ついてしまいます。

第一作目の『赤毛のアン』から、アンと共にルビーの成長も追っていた私たちにとっても、ルビーの死はやはりショッキング。秋学期の始めは、ルビーの思い出を一緒に振り返りながら、ゆっくりと読み進めていきたいと思います。

加藤千佳