『イーリアス』を読むクラス

福西です。クラスのご案内です。

『ギリシャ語初級講読 A』では、『イーリアス』22歌を読んでいます。

日時は土曜 10:30〜11:50。

講師は山下大吾先生です。

テキストはこちら。

Homer: Iliad Book 22 (Cambridge Greek and Latin Classics)

一回の授業で20行ほどのペースで進みます。

さて、『イーリアス』の22歌には、有名なヘクトールとアキレウスの一騎打ちの場面があります。

22歌358-60行

φράζεο νῦν, μή τοί τι θεῶν μήνιμα γένωμαι
ἤματι τῷ ὅτε κέν σε Πάρις καὶ Φοῖβος Ἀπόλλων
ἐσθλὸν ἐόντ᾽ ὀλέσωσιν ἐνὶ Σκαιῇσι πύλῃσιν.

さはれ、恐れよ、神々の復讐われぞ祈るべき、

汝いかほど勇なるも、パリスとプォイボス・アポローン、

スカイエーの城門のわきに汝を討ち取らむ。(土井晩翠訳)

土井晩翠の訳、かっこいいですよね。(こちらの「青空文庫」にあります)

 

さらに、そのあとのシーンも有名どころです。

ヘクトールの妻アンドロマケーは、夫が討たれたことをまだ知らず、機を織っています。

8歌で夫から「お前はお前の仕事をするように」と言われ、それを今の今まで行っていたことがわかります。

けれどもその仕事(ヘクトールのための織物を作ること)が無駄になったと知った瞬間、手から梭を落とします。

ドラマでよく、こういうシーンありますよね。それが何千年も昔の作品から伝わっていることに、なんだかグッときませんか?

22歌447-8行

κωκυτοῦ δ᾽ ἤκουσε καὶ οἰμωγῆς ἀπὸ πύργου:
τῆς δ᾽ ἐλελίχθη γυῖα, χαμαὶ δέ οἱ ἔκπεσε κερκίς:

さはれ慟哭哀痛の聲はひゞけり塔の上、

聞きて思はず膝震ひ梭を地上に取り落し

どうして上のギリシャ語が下の日本語のようになるのか。

ぜひ、講読クラスでじかにご堪能ください。