福西です。私のラテン語の体験談を一つ。
私は英語がさっぱりなのですが、ラテン語に触れて、英語のおさらいができてよかった、ということがありました。
その一つが、現在分詞と完了分詞です。
現在分詞 「〜している……」
完了分詞 「〜された……」
英語をきちんとされてきた人には、なんでもないことです。
でも、中高の間、英語をさぼっていた私は、ラテン語の学習を経由して、やっとこの事実を知りました(^^;)。
分詞というものは、現在にせよ完了にせよ、どちらも名詞にかかるもの(形容詞、修飾語)ということなんですね。
ということは、分詞だと気付いたら、
1)これはそもそも動詞ではない! 動詞は別にあるはずだ!(探す)
2)分詞ということは、それのかかる名詞があるはずだ!(探す)
3)2)が見つからなければ、「~している者」「~された者」(形容詞の名詞化)が考えられる
4)1)が見つからなくて、estがあれば、「受け身の完了形」が考えらえる
こんな感じの思考パターンが形成されるかと思います。
3)と4)は、頻度が落ちるので、後回しにできます。
肝心は1)です。動詞を見つける、という「目」を持つこと。
そもそも「1つの文に動詞が2つあるように見える」から、混乱します。本当の動詞を見つけるには、「片方がにせもの」と思えればいいわけです。
たとえるなら、ヘラクレスがヒュドラの首を火で減らしたように!
本当の動詞が見つかれば、意味をとることが楽になります。
こんな感じに、ラテン語をしながら、「英語のおさらいをしているんだなあ」と思うようになりました。
さてラテン語の文章では、「~している何々が、~された何々を、どうした、こうした……」というような、重たーい文章がよーく出てきます。
たとえば、
lacrimante puella_ carpta rosa recreat.
というような調子です(これは私が適当に作った文です)。ここで、
1)puella(プエッラ)が「少女は」。
「少女によって」(奪格)にするときは、puella_(プエッラー)。(第1変化の名詞)
2)rosa(ロサ)が「バラは」。(これも第1変化の名詞)
3)lacrimo(ラクリモー)が「泣く」。(第1活用の動詞)
これの現在分詞が、lacrimans。奪格の形はlacrimante。(第3変化の形容詞)
4)carpo(カルポー)が「摘む」。(第3活用の動詞)
これの過去分詞が、carpt-um(女性形はcarptaカルプタ)。
5)recreatは、recreo,are(生き返る、第1活用の動詞)の3人称現在。
で、1)~5)を組み合わせると、
lacrimante puella_ carpta rosa recreat.
泣いている 少女によって 摘まれた バラが 生き返る。
となります。
ただし、ここに至るまでに、実は一つ問題があります。
それは、辞書を引くことです。
形が変わってしまった現在分詞や過去分詞を、「動詞」の形で引けるかどうか。
つまり、
lacrimante ← lacrimo
carpta ← carpo
と、「これが元の動詞かなあ?」と、「あたりをつけて」引くことができるかどうかです。
これが、ラテンを始めたばかりのころの私には、大きな「つまずき」の石でした。
と同時に、そこをクリアしたとき、「楽になった」ポイントでもありました。
最初は、「こういう作業をする」ということを(独学で)知らなかったので、carptaを見たら、第1変化や第2変化と思って、辞書でいっしょうけんめい探して、「あれ、ない?」(涙)となっていました。
でも、「動詞で引く」ことを知ってから、その混乱が減りました。
分詞、見っけ!
↓
動詞で辞書を引く
↓
「~している」「~された」と訳す
この手順です。
上のように「現在分詞、過去分詞」の処理ができれば、『アエネーイス』のような実際の古典作品でも、アマチュアとして満足できるぐらいには、読むことができます。
(正直言うと、関係代名詞の慣れも必要です。私はすごく苦手なのですが、ラテン語に触れる限り、英語のおさらいができる、……はず、と前向きにとらえています^^;)
というわけで、ラテン語が英語のサプリメントになっているという話と、ラテン語のお誘いでした。
【結言】
分詞を、辞書で動詞から引けたら、ラテン語は、楽になります。