福西です。秋学期最後の授業の記録です。
先週の続きから。マッチ棒1本を動かして、「5+6=4」を正しい式に直しなさい、という問題です。
「ここを一本とって…」
(おお!? ドキドキ)
「5+6=7?」「あれー、こうとちゃうんよなあ」
(なるほど、そうきましたか(^^))
「あ…」
「あ…!」「あ~!!」
「これや!」「これや~!」
( 正解です^^)
そうです。右辺(「=」の右側)を「1ケタ」と思い込んでいるうちは、なかなか見当がつきませんでしたが、「まだ考えていない可能性に焦点を当てる」ということを丹念にしていくと、必ずそれが思い込みであることに気が付きます。というわけで、Sちゃんが「あと動かしていないのはイコールの右側しかないなあ」と注目してくれたことや、「5+6って11だよなあ」とH君が無意識に何度も口にしていたことが布石となって、上のような答にこぎつけました。
マッチ棒パズルでは、すべての可能性を当たれば必ず答を見つけることができます。それは「あたり前」ではありますが、そのあたりまえを実行することは、なかなか難しいことです。「これはちがうやろう」と思い込んで、頭の中で解決せずに、実際に手を動かしてみることをおすすめします。(これは他の問題でも言えることです。頭の中で描くイメージには、実際との乖離や、思わぬ落とし穴があるものです)。
後半の時間は、2のべき乗を記録していきました。
以前、『壺の中』を読んだ時に使った、「2のべき乗の紙」をSちゃんが大事そうにまだ持っていてくれました。そのことに端を発し、「もし紙を40何回も折ったら月に届くって、あれ、うそなんでしょ?」という疑問があったので、それならばと実際に調べてみることにしました。
(2のべき乗の紙)
まだ小数を習っていないので、分かりやすさのために紙の厚さは1mmのところからスタートしました。1回折るごとに、紙の厚さは2倍になっていくものとし、地球から月までの距離は、380000000000mm(3800億mm)とします。さあて、届くのでしょうか?
まずは奇数、偶数を書き込んでから…
交代で電卓をたたき、2倍ごとの数を記録していきます。奇数番目はSちゃんの担当、偶数番目はH君の担当です。
どんどん長くなっていきますが…
2^38 = 274 877 906 944
というところまで来ました。電卓のけたは、これでもういっぱいです。2700億!ということは、あともう1回折れば、5400億。月までの距離である3800億を飛び超えます。つまり、1mmからスタートした場合、倍々にしていくと、39回目で月に届くことが分かりました。(ちなみに0.1mmからスタートすると、あと3回足して42回となります)。
授業で確かめたのはここまでですが、「太陽まではどんだけあるの?」という質問があったので、あわせてその距離も伝えました。
また、このあとの発展的な課題としては、たとえば次のようなことが考えられます。
1)太陽までの距離である150000000000000mm(150兆mm)には、このあと何回折ればよいか?
A:10回以内 B:100回以内 C:1000回以内 D:それ以上
2)記録した数の1の位に、何か規則性がないか考える。
3)記録した数にあらわれる数字で、一番多い数字、または一番少ない数字は何か? あるいはそのような偏りが見られるかを考える。
数はこのようにいろいろな角度から調べると面白いと思います。
では、また冬学期に会いましょう!