福西です。
ことば2~3年クラスでは、1/18から『二分間の冒険』(岡田淳、偕成社)を読みます。
「竜よ、ぎしきのじゃまをされるのは、そんなにいやなのか。」
太郎はなぞをかけずに、からかうようにいった。竜の目がすっと赤くなった。
──少年たちよ、わたしになぞをかけよ。
「おまえの思うとおりにならないのは、がまんできないことなのか。」
太郎の足がふるえているのが見えた。だが声は、からかいの調子が消えなかった。
──では少年たちよ、わたしのなぞにこたえよ。
「いやだね。」
このシーンはクライマックスの一つです。
以下はあらすじです。
主人公の六年生の悟は、黒猫ダレカの「見えないとげ」を抜いたお礼に、「時間がほしい」と望みます。するとダレカによってもう一つの世界へ連れてこられます。そこで学校のクラスメイトそっくりの子供たち(太郎やかおりたち)と出会います。
その子供たちは、ある時期になると「竜の館」へ行き、竜と戦わなければなりません。その戦いでは、「なぜ」と言うと、負けとなります。負ければ竜に霧を吹きかけられ、老人にされてしまいます。そして敗れた者たちが若いうちにしたであろうことを、竜が代理でしてくれることになっています。
悟には、元の自分の世界に帰るという願いがあります。それには、黒猫ダレカをつかまえなければなりません。しかしダレカは「この世で一番確かなもの」に変身しています。
そこで悟は、ダレカは竜に化けているのだろうと考えます。そして竜をつかまえ、竜と一緒に消えることで、もう一つの世界の子供たちを助けよう、と決心します。
さらに悟は、竜の館に向かう道中、竜を倒す剣を手に入れます。それで儀式の順番を待たずに、竜に戦いを挑みます。冒頭の引用は、その直後のシーンです。
私が満を持しておススメする日本の児童文学の傑作です。
高学年向けですが、本好きな方なら読めると思います。講師も一緒になって音読します。
ぜひ「本の楽しみ」を味わいましょう。