「2022-06-11ギリシャ語の夕べ──古典ギリシャ語の学び方」感想

福西です。

第3回「2022-06-11ギリシャ語の夕べ──古典ギリシャ語の学び方」(広川直幸)

を視聴しました。印象に残った内容をまとめました。ご参考になれば幸いです。

【0:00:00-0:14:30】
古典ギリシャ語の勉強で何に気を付けたらよいのか?

・講師のギリシャ語学習歴
・何をしていいか分からなくなった時に、効果があったこと
1)暗記すると後の学びが楽になった
2)ギリシャ語と関係ない言語を勉強すると、ギリシャ語が分かるようになった。
3)作文すると全体像が見えるようになった。(書けることが読めるために必要だった)

大切なのは、
「書いてあるギリシャ語を、書いてある通りに読めること」!
→発音できないと、覚えられない
→音の印象が残っていれば、覚えられる
文字から音を感じて、意味をイメージできるようになれば、成功
文字だけを見て、声に出さないのは一番よくない勉強法
→古典ギリシャ語は「聞くための文字」。解釈は音読の後!

いったん解いた問題は、音読の教材になる!
→再利用しないともったいない。
→一方、古典ギリシャ語の発音を正しく読める人は誰もいない。だから、そのことを逆手にとって、「自分なりの流暢さを求める」のが、発音の目指すべき姿。

【0:14:30-0:46:00】
教科書はどれを選べばいいの?

語彙に配慮してあるものを選ぶべき。
・語彙力が乏しいと、あとで原点講読で苦しむことになる。
・語彙はどんな手を使ってでも増やした方が良い。
・たとえば、教科書の語彙から、単語カードを作って、暇なときに覚える(語彙を増やす)

古典ギリシャ語は独学できる?
1)独学はロスが多い
→他の言語よりは独学に向いている。語学のセンスがあればできる

2)独学は継続が難しい
「いつの間にかやめて、時間がたってしまう」という言葉に、どきっとなりました。授業に出ているとペースができる。やる気がない時にも授業に合わせて勉強できる、とのこと。

→山の学校でメインで使っているThrasymachusという教科書は、一番オススメ。学び直しにも最適。

Thrasyumachusの良い点
1)文脈のある文章を読ませる
文章の後に活用表がのっている。「表をまず覚えなくていいよ。文章に出てきた形を
まとめ直すと、こういう表になるよ」という構成。それが自然。

2)語彙に配慮している
重要な語彙は何度も出てくるので、いつの間にか覚えられる。

3)読んだ内容で作文する

この教科書を卒業すれば、プラトンの初期の対話編でも、オデュッセイアーでも、マルコによる福音書でも、読めるようになる。

古典語の文法って?
→簡単に言えば、変化表。
→変化表のとある形が、文中に、どういう意味でつかわれているのか? に答えるのが文法。
→変化表を覚える作業には、応用が効く仕方と、効かない仕方がある。
→作文もオススメ。教科書で読んだ文章を再利用すればよい。

覚えることは、「語彙と文法」しかない。でも優先順位がある!
・語彙を増やすー>文法を覚える。
・逆はよくない。

【0:46:00-0:58:30】
テキスト(原典)はどれを選べばいいの?(どこの出版社のものを買えばいいの?)

テキストの標準な構成
・テキスト
・テスティモ―ニア(古代の人の引用情報)
・アパラートゥス・クリティクス(写本情報)
の3段組

1)トイプナー版(Bibliotheca Teubneriana)
→高価(一番たくさんの作品を収めている)

2)OCT(Oxford Classical Texts)
→廉価(テスティモ―ニアは省略、アパラートゥスも大幅に省略)。

3)Loeb Cklassical Library
→より気軽に買えるが、古いテキストは質が悪いことが多いので注意。

初学者向けの(語学的な)注釈書
→数が少ないので、見つけるのは厄介。

【0:58:30-1:15:00】
辞書はどれを選べばいいの?

→古典ギリシャ語の選択肢は非常に狭い
・初歩が終わった人には、実質2冊しかない
・アプリのLogeionも便利

「辞書は読むもの、文法書は引くもの」というアドバイス。

文法書はどれを選べばいいの?

→おススメできるのは1冊だけ
・スマイズに書いてなかったらそういうレベルの高い話なんだなと思って、区切るのも一つの手。

【1:15:00-1:30:00】
質問タイム

山の学校の宣伝
・通える人→Thrasymachus(作文指導あり)
・リモート→ギリシャ語初歩

以上、古典ギリシャ語を学び始めの、指針をたくさん聞くことができました。とくに、「『文字→音』の段階で印象を抱けるようになると、語学の勉強としてある程度成功している」という言葉にグッ(ぐさっ)ときました。私は、そこを一番手抜きしてしまいがちだからです。

語学において音読は(古典語でも)大事なんだと改めて意識しました。(福西)