『赤毛のアン』を読む(西洋の児童文学を読むB、2022/9/9)(その1)

福西です。

『赤毛のアン』(モンゴメリ、村岡花子訳、新潮社)を読んでいます。

p87~97、第7章「アンのお祈り」と、第8章「アンの教育」の冒頭を読みました。

スペンサー夫人の家から戻ったその日、マリラは眠る前にお祈りをするように言います。しかしアンは「お祈りはしたことがない」と言います。保守的なマリラは一瞬ぎょっとします。

しかし、アンは、

「神は愛にして無限、永遠に変わることなく、その知恵と力と神聖と正義と善と真は限りなく、変わることなし」

と、説教集にある「神とは何か」という問いに対する答を、すらすら言ってのけます。日曜学校で牧師さんが言っていたのを暗記していたのです。それでマリラはほっとします。

また、アンは独自の祈り方を持っています。

「たった一人で広い広い野原か、深い深い森へ行って、空を見あげるんだわ。上の上の上のほうを──底知れず青いあの美しい青空を見あげて、それからお祈りをただ心に感じるの」

と。確かに真心がこもっていそうです。マリラはそのことで、何も口をはさみませんでした。

マリラは、定型の祈り方を教えることを、思いとどまります。ユーモアが出たのです。それで、「神様に、これまでのお礼と、これからかなえてほしいことを祈りなさい」と言い、アンの裁量に任せます。

アンは、心を込めて、お祈りします。

お礼としては、歓喜の白路や輝く湖水などのことを。お願いとしては、グリーン・ゲーブルズにいられますようにと、美人にしてくれるようにと。

そして、「アーメン」のところを、「かしこ」と結んで。

(その2)へ続きます。