福西です。
『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第4話「オープン・ウィンキンズ」を読んでいます。
読んだ個所は、下巻p73-79です。
クライマックスです。
ホブは、急いでオープン・ウィンキンズに帰り、マーガレットに会います。
ちょうど、花嫁衣裳が作り終わるところでした。マーガレットがそれをホブに渡すと、「行ってください、すぐ行って!」と叫びます。
しかし、ホブはこう言います。
「ああ、行く、マーガレット。しかし、あなたも、わたしといっしょにくるのだ」(…)
「あなたは、あなたのためにその婚礼の服をつくったのだ」
と。
このパターンは、p58での二人の会話を思い出します。ホブが望みをかなえたあかつきには、ホブの一番大事なものであるマーガレット自身を、マーガレットに返す、というやりとりを。
マーガレットは半分気絶し、ホブの体にもたれかかります。そして、自分の秘密について語ります。
風の十字路、ハルカナムコウで生まれたこと。風が名付け親であること。風がオープン・ウィンキンズに運び込むものを、自分は手に入れるけれども、いつも一時的で、風がまたそれを奪い去っていくのだ、と。
ここで読者は、「風に揺れるクモの巣」を連想することでしょう。
風が運び込むものとは、ライオネル、ヒュー、ヘリオット、アンブローズ、そしてホブのことです。さらに、それ以前の旅人たちのことです。マーガレットは、彼らに「居続けてもらう」ために、彼らの願いをかなえてやります。そのかわり、彼らからその大事なものを奪います。それを、「正しい」と思っているのでした。
(その2)へ続きます。