福西です。
『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第4話「オープン・ウィンキンズ」を読んでいます。
読んだ個所は、下巻p64-73です。
いよいよ佳境です。ホブはマーガレットの秘密を知ってしまいます。
嵐の夜、ホブはマーガレットの小屋を訪れますが、彼女はいませんでした。
暗闇の中、ホブは室内で、弟たちのシャツを見つけます。
ホブは、弟たちの症状の原因が、これだと悟ります。そして弟たちがオープン・ウィンキンズに来たこと、それをマーガレットが秘密にしていたことを確信します。
「わたしはいま、これまでにないほどの勇気を必要としている。」
勇気は、弟のヒューの特性です。ホブは、紅林(The Red Copse)へ急ぎます。
紅林の中は暗く、蛍が飛んでいます。その蛍でさえ引き返すような、暗闇の一番濃い場所に、ホブはたどり着きます。
そこには、黒い泥の沼がありました。
沼には虫や蛇といった、人の忌み嫌う生き物がうごめいています。
そのほとりで、金髪を泥に浸している人影がありました。
マーガレットでした。
水浴びの儀式を終えて、うっとりと顔を上げた彼女。その目がホブの目と合ったとき、彼女の恍惚が怯えに変わります。
「いまこそ、わたしは、かつてなかったほどふかく考えなければならない。」
知恵は、弟のアブローズの特性です。ホブは、注意深く、マーガレットに話しかけます。
「わたしたちには、今夜、たがいに果たすべき約束があった。いま、その約束を果たすことにしよう。」
ホブの他人行儀の口調に、果たしてマーガレットの思いはどんなものだったのでしょうか。
(その2)へ続きます。