福西です。
『赤毛のアン』(モンゴメリ、村岡花子訳、新潮社)を読んでいます。
p67~77を読みました。第5章「アンの身の上」(Anne’s History)を読みました。
「農場の人手なら、男の子を雇おうと思う」とつぶやくマシューを置いて、マリラとアンを乗せた馬車は出発します。アンは「ドライブを楽しむことにした」と言います。
マリラはアンに、「話をするのが好きなら身の上を話すように」と言います。
アンは、彼女が生まれてすぐ亡くなった両親のことを話します。父の名がジェデディアでなくてよかったと言うので、マリラは「その人が正しい行いをするかぎり、名前などどうでもかまわない」とたしなめます。すると、アンは、「バラがキャベツという名だったら、同じように匂わないと思う」と言い返します。
そのあと、アンは淡々と、身の上話を続けます。
親戚の間では引き取り手がなかったので、アンの家の掃除夫だったトマスの小母さんが引き取ってくれたこと。
小母さんの亭主は酒飲みで、まもなく汽車から落ちて死んだこと。
小母さんは四人の実子で手いっぱいで、アンの居場所がなくなったこと。
川上のハモンドの小母さんに、子守として引き取られたこと。双子が三組もいて大変だったこと。そこに二年いたこと。
ハモンドさんの亭主が死んだので、ホープタウンの孤児院に預けられたこと。
そして、スペンサーさんを通して、グリーン・ゲーブルズに来たこと。
学校には時々しか行かなかったこと。でも学校は好きではなくて、孤児院の本を読んでいたこと。
マリラは、「その人たちは、あんたによくしてくれたかね?」と尋ねます。
するとアンは、「よくしてくれたかったってことはわかっているの」と答えます。
Oh, they meant to be—I know they meant to be just as good and kind as possible. And when people mean to be good to you, you don’t mind very much when they’re not quite—always.
その一言で、マリラはおおよそを察します。アンがこれまで人から顧みられない生活をしてきたことを。
一方、アンはあっけらかんとしています。馬車から海が見えると、「海ってすてきね?」と、はしゃぎます。
マリラの気持ちが、この時から少しずつ揺らぎはじめます。
アンの身の上話が終わると、馬車はスペンサー夫人の家に到着します。これからアンを孤児院に送り返す算段をつけなければなりません。