浅野です。
高校では試験が行われる時期になってきました。
Kさんは試験が終わったということで、感想を聞くと円と直線との共有点に関する問題があまりできなかったそうです。その範囲は習ったばかりでまだあまり復習がきちんとできていませんでした。そこでその範囲の問題をその場でしてもらうと、理屈はわかっているようでしたが、二次方程式の計算に苦労していました。因数分解で解けるものはよいのですが、そうでないものが苦手なようです。昔は中学校で二次方程式の解の公式(x=-b±√b^2-4ac/2a)を叩き込まれたものですが、彼の世代は解の公式を教えられなかった世代に当たると思います。そうだとすると苦労するのももっともです。
Cさんは試験前ですが、指数や対数などの計算をしてもらうとスムーズに手が動きませんでした。単純な計算間違いも目立ちました。前回の記事で書いた心配が当たっていたようです。それでも試験前にそのことに気づいてくれたのは収穫でしょう。残りの日で修正してくれることを期待しています。
この日はTさんが見学に来てくれました。初めてなので現状を確認しました。
三角関数が苦手だとの自己申告をしてくれたので、どのあたりでつまづいているのかを知るためにいくつか質問をしました。一つには三角比の90°以上への拡張(三角形から単位円への拡張)がよくわからなかったようです。確かにここで大きな飛躍をしているわけで、sinθは単位円のy座標、cosθは単位円のx座標だという新しい定義がこっそり導入されているわけです。この定義をはっきりと意識することが第一段階です。そして次の山場は加法定理です。三角関数の計算ではしょっちゅう使います。もともとは三角形の余弦定理から導いたりするのですが複雑なので、一度確認した後は覚えてしまったほうがよいです。加法定理さえ覚えていると、倍角や半角の公式、積和、和積の公式はすぐに導き出せます。今回のやり取りで現状が少しでもはっきりしたとしたらうれしいです。
いつものこととはいえ、授業を終えた後に、それぞれの生徒の現状分析を細かく記録していただき、感謝申し上げます。これだけ丁寧に見ていただいていたら、どこでつまづいてもきちんと軌道修正できそうです。ただ、逆説的に言えば、生徒さんたちには、今述べたような安心感を得てほしいのではなく、おおいに問題を解いて、おおいに悩んでもらいたいと思います。自分で悩むほど、先生に質問して手ほどきを受けたときの感動が大きなものになるでしょう。それは自信にもなるし、次に似たような問題でつまづいたときに、自分の力で解決に近づくための羅針盤にもなるでしょう。