福西です。
(その1)の続きです。
これでめでたしめでたしなのですが、しかし、こうも思います。
最初の二人の犠牲を、どう受け止めたらいいのかと。
まるでその犠牲は、王子が切り落とした自分の手首のように、「自分のものなのだから、自分がその痛みを我慢すればいい」という感じです。
一つのことに対する集中力と熱意には非凡なものがあるけれど、どこか他人の視点を持たない自分中心的な性格をにおわせます。おそらく、この王子の内面の世界では、自他が分離できていないのでしょう。だから他人を、自分の目的のためにモノ扱いしてしまうのでしょう。
似たような性格の主人公に、イタリアの昔話の『三つのオレンジ』の王子を連想しました。このお話も、王子が美しい娘を求めて旅し、三つのオレンジを持ち帰ります。けれども喉が渇いてオレンジを割り、中から出てきた姫の命を二つ、台無しにします。