福西です。
『海の王国』(ジョーン・エイキン、猪熊葉子訳、岩波書店)を読んでいます。
「8 ナシの木」を読みました。
以前に読んだ「太陽の神さまの家」と似た、宗教的なお話でした。
三人兄弟の話です。
兄弟の財産は、ナシの木だけ。その実を仲良く分けて売ることで生活しています。
そこへ、「人間がうまくやっているかどうかを調査してきなさい」と命じられた、ガブリエルがやって来ます。
ガブリエルは乞食に変装して、「ナシをめぐんでくれ」とたのみます。
長男、次男、三男は、それぞれ快くナシを渡します。
ガブリエルは、今度は修道士に変装して、ナシのお礼に、それぞれの願いをかなえます。
長男は、「あの滝をすべてワインに変えて、自分のものにしたい」と願います。
次男は、「あの鳩をすべて牛に変えて、自分のものにしたい」と願います。
三男は、「いいキリスト教のお嫁さんがほしい」と願います。
長男と次男の願いは、すぐにかなえられました。ですが、三男の願いには、ガブリエルは頭をかきます。
というのも、「世界中で3人しかいないから」と。
一人はすでに結婚し、もう一人は絶対結婚しないと言っている。最後の一人のミリツァは、二人の金持ちから求婚されている、と説明します。それでもガブリエルはとりあえずミリツァのもとへ、三男をつれていきます。
三男は、ナシしか贈ることができません。しかしミリツァは、三男のルックスを気に入ります。
ミリツァは、三人の求婚者に、次のように約束します。
「今からブドウの種を撒き、一番早く実らせた者と結婚する」
受講生が、「そんなことをするのは、ミリツァのお父さんが三男との結婚を許してくれるため」だと説明してくれました。その通りだと思います。
果せるかな、三男のブドウが一番はやく実り、ミリツァと結婚できます。
だれが力を貸したかは書かれていませんが、おそらくはガブリエル、または信仰のなせるわざ、ということでしょう。
(その2)へ続きます。