福西です。
『赤毛のアン』(モンゴメリ、村岡花子訳、新潮社)を読みはじめました。
最初は、舞台となるプリンス・エドワード島の地理や風土について確認しました。
そして、エピグラフの詩を味わいました。
天空の導きの星が汝の運命を定め、
活気と火と露もて汝の魂を創り給いし
──ブラウニング
The good stars met in your horoscope,
Made you of spirit and fire and dew.
Browning
ちなみに文春文庫の松本侑子訳では、
「あなたは良き星のもとに生まれ 精と火と露より創られた」
です(こちらの方が意味は取りやすいと思います)。
このエピグラフからは、アン(を主人公にした作品)の誕生に対する、モンゴメリの惜しみない愛情が感じられます。
「想像力」という内面のプレゼントを、神から(モンゴメリを通じて)持たされたアン。彼女の前途が、たとえ狭められることがあっても、その道全体が幸福の光で包まれていることを、作者は祝福し、予言し、応援しています。
この作品は、ブラウニングに始まり、ブラウニングに終わります。
「神は天にあり、世はすべてよし」
God’s in his heaven
all’s right with the world
─”Pippa Passes”,Browning
という、ブラウニングの詩(『ヒバが通る』の一節)でもって閉じられます。アンのセリフです。
ぜひそこまで読んで、たどり着きましょう。
テキストは、p5~p10、1章「レイチェル・リンド夫人の驚き」(Mrs. Rachel Lynde is Surprised)の前半を読みました。読んだ個所を要約すると、以下の通りです。
六月のプリンス・エドワード島。レイチェル・リンドはブライト・リバー駅へ向かうマシュー・カスバートを目撃する。マシューは馬車に乗り、めかしこんでいる。リンド夫人は何事かと思い、好奇心がうずく。さっそくマリラ・カスバート(マシューの妹)の家、グリーン・ゲイブルズを訪問する。
ちなみに、冒頭(原文はこちら)で出てくるレディーズ・イア・ドロップス(ladies’ eardrops)は、こんな花です。
ホワイト・アン(京都府立植物園にて撮影)
釣浮草、フクシアです。プリンス・エドワード島では、六月に咲くんですね。
最後に、映画の『赤毛のアン』(ミーガン・フォローズ主演、ケビン・サリバン監督、1986年)を見ました。今日読んだ個所の、リンド夫人とマリラの会話のシーン。それと、つぎに読む箇所の、マシューがブライト・リバー駅でアンを馬車に乗せるシーンを見ました。(約10分)
【備考】
『赤毛のアン』は、古い版だと、エピグラフのブラウニングの詩と、37章のマリラの告白が割愛されています。それが新しい版(平成20年以降)では復活しています。
このクラスでは、新しい版をテキストに使用しています。