2022-04-11 『アエネーイス』講読(2.77-96)

山下です。
週末は山の学校の「離れ」にて、『アエネーイス』講読(2.77-96)を行います。参加希望者はお問い合わせください。

試訳は次の通りです。ご参考まで。

いくら邪とはいえ、この私を中身のない嘘つきにはされますまい。
おそらく、語り伝えの中で、ベールスの息子パラメーデース(*)の名前と
そのたぐいまれな栄光についてはお聞き及びのことと思う。
彼は、無実にもかかわらず、戦争に反対したため、ペラスギー人(*)によって
国家反逆の濡れ衣を着せられた。彼らは今でこそ命を奪ったことを悔いているが、
恥ずべきことに無実の彼を告発し、死刑に処した。85
わたしは彼の従者だった。近い血縁でもあったので、貧しかった父は
わたしが成年に達するとすぐこの戦場に送り出した。
彼がつつがなく国を治め、諸王の会議において
力をもっていたあいだ、わたしもある種の誉れと名誉に
与っていた。ところが口達者なウリクセースの恨みを買って、90
これはだれもが知っている話だが、パラメーデースがこの世を去った後、
わたしは親しかった無実の主人の不幸をわがことのように憤りつつ、
暗闇と悲しみの中で打ちひしがれて命をつないだ。
血迷ったわたしは黙っていることができず、もし機会が許すなら、
またもし勝利を収めて祖国のアルゴスに帰国できたなら 95
仇討ちをすると誓い、それを口にしたことで激しい憎しみを招いた。