山下です。
キケローの「スキーピオーの夢」の中に次の表現があります。
Tu enim quam celebritatem sermonis hominum aut quam expetendam consequi gloriam potes?
じじつ、おまえは人間の噂からいかなる名声を、あるいは追求に値するいかなる栄光を求めることができるだろうか。
celebritas(名声)やgloria(栄光)といった言葉は仰々しいですが、キケローは、世間がもてやはすような名誉ある地位や行いを奨励しているのではありません。
宇宙空間から地球の小ささを指摘しながら、地上の名誉のちっぽけなことを話者大スキーピオーは孫の小スキーピオーの滾々と説いています。
では追求すべき真の名誉とは何か。
それは今の言葉でいうところの「世界の平和に貢献すること」であり、いいかえるなら法に基づく秩序を重んじることにほかなりません。
追伸
ラテン語講習会ではこの作品を一字一句丁寧に読んでいます。