山下です。
古典を読む理由は人さまざまです。
教育とからめて考えたとき、古典を読むことには大事な意味があると思います。
ラテン語に、Inter arma silent Musae.(戦争の間ムーサは沈黙する。)という言葉があります。
それでもなお声を上げた詩人たち、文学者たちの言葉が今目の前にあります。
二千年以上前のギリシア文学、ローマ文学が目の前にあり、作家は戦火を潜り抜け、内乱のさなか塗炭の苦しみを味わいました。
二千年読まれた作品は、今から二千年先にも読まれるでしょう。
ウェルギリウスは「戦争を歌う」と宣言して「アエネーイス」1万行を書き上げました。
彼は「農耕詩」の中で、内乱と疫病の悲惨さを事細かに描いて見せました。
遠い昔の、地球の裏側のメッセージを現代日本の我々が読む意味は、それらを人類の宝として未来の子孫に届ける役目をはたす点にあると思います。
そこからどのようなメッセージをくみとるか。正解はありません。
だからこそ、毎日世界の様々な場所で読み続けられていくのでしょう。
正解がないという事実は、頼りないことではけっしてなく、世の「巧言令色」に対抗するうえで貴重な自覚を一人一人に促します。
2022-03-02 古典を読むこと
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