福西です。
この日から、新しいテキストに入りました。
『ポアンアンのにおい』(岡田淳、偕成社)です。
クラスで取り上げる岡田淳作品は、これで三作目です。
今作はちょっとしたラブコメディの要素があります。
「1 ききなれない音を聞いた」「2 コウモリはわらう」と、「3 正義の使者なのだ」の途中まで読みました。
主人公は5年生の浩と陽子。石けんで遊ぶ浩を注意した陽子が、石けんを投げ返すと、それが窓を飛び越え、池に落ちてしまいます。浩と陽子は罰として、放課後に石けんを探すことになりました。浩はまだ陽子と打ち解けることができません。
そんなとき、さっそくファンタジーが起こります。浩は、シカシと名乗るコウモリと出会います。
シカシは、「世界の終わり」だと言って、悲観的に浩にある出来事を語ります。
なんでも、星が池に落ちて、それを食べたガマガエルが巨大化したというのです。
浩もシカシも、星が例の石けんであることを知っています。
さて、ガマガエルは「ポアンアン」と名乗り、石けんを「神の贈り物」と解釈して、正義の使者を池で気取り始めます。
──おお、おなかのなかがきれいになっていく。うう、きたないものはゆるさない。おお、心がうつくしくなっていく。うう、わるいことはゆるさない。
ハエやカマキリや、目につく生き物すべてに「お前はいいハエだったか」「いいカマキリだったか」と問いただし、違うと答えると反省を促し、反省しないと、しゃぼん玉を吐いてその中に閉じ込めてしまうのでした。
それがシカシの語る「世界の終わり」でした。
「星を食べる」要素や、「しゃべる動物から物語を聞く」という構造は、『星モグラサンジ』に通じています。この作品はその先祖にあたるのだと思いました。