山びこ通信2021年度号(2022年2月発行)より下記の記事を転載致します。
『ギリシャ語初級文法』『ギリシャ語初級講読』A
担当 山下 大吾
初級文法クラスは、春学期4月から8名の受講生を迎えて開講致しました。教科書として岩波書店刊田中美知太郎・松平千秋著『ギリシア語入門 新装版』を用い、3学期36回の授業で全70課と『クリトーン』など講読用テクスト2編に全て取り組むスケジュールで、2022年3月の修了を目指し順調に過程が進行しております。授業は一コマで教科書2課分に取り組み、希文和訳問題を受講生に答えて頂く形式です。和文希訳問題には時間の関係から授業内では取り組まず、当方で作成した試訳を提供して、各自任意に確認頂く形を採っております。
講読クラスでは、引き続きホメーロスの叙事詩に取り組んでいます。これまでに『イーリアス』1歌(2019年9月~2020年10月)、『オデュッセイア』1歌(2020年11月~2021年10月)を読了しました。現在は、老王プリアモスが決死の覚悟で息子ヘクトールの遺体を引き取りにアキレウスの陣屋を訪れる、「ヘクトール贖いの段」として古来名高い『イーリアス』の24歌を読み進めています。受講生は開講以来継続受講されているCuさんに加え、春学期から新たにTさんとCavさんが参加下さり、各自それぞれの質問や感想などが交わされる一層賑やかな授業となりました。文法的精読を旨に、ホメーロス独特の形態や表現、ヘクサメトロスの韻律にも注意しながら複数の註釈を参照しつつ、一回の授業で10数行から20行弱というペースで進んでおります。