「びりっかすの神さま」を読む(ことば3~4年2022/2/1)

福西です。

『びりっかすの神さま』(岡田淳、偕成社)を読んでいます。

「11 最後のひとり」「12 一番はうれしいか」を読みました。

みんなは「よおし。全員10点をとるぞ」と意気込みます。

──久しぶりだなあ、10点は。

これは正紀の声です。

全員、最低点=最高点の10点をとりました。これで、全員びりっかすが見えるはずです。

ところが英子にだけは、見えません。びりっかすがいるという話を信じようとしないからでした。

「まぼろしよ。そんなの。見えると思うから見えるのよ!」

そんな英子をとりまいて、英子以外の全員が、「心の中のおしゃべり」で話し合います。その雰囲気にプレッシャーをかけられ、英子は泣き出します。

次の小テストの時間、英子はぼうっとしています。鉛筆が動かず、このままでは0点。彼女だけがびりになってしまいます。

ここで、みんなはそれぞれの意思で、0点を取ることを決意します。

──うそ! うそ! 信じないわ!

英子の心の中の声がみんなに聞こえました。それで、彼女にもびりっかすが見えたことが知れました。

 

次の日。全員が0点をとったことがショックだったのかどうかは分かりませんが、市田先生は学校を休みます。

ちょうど運動会の前日で、明日に向けての練習がありました。

みんなは心の声を使って、明日のリレーについて議論します。ハンディキャップのある子にわざと負けるべきかどうか、わざと花を持たされた相手はうれしいかどうか、一生懸命走って勝った時に、素直に喜んでいいのかどうか。びりっかすが見えなくなってもいいのかどうか。

──わかんなくなっちゃったよ。

だれかがそういった。始もおなじ気持ちだった。

ここで主人公の悟が模範的な回答を示さないことが、この作品のいいところだと思います。

悟は、びりっかすにもたずねます。

──本気で、走れよ。

いつもじょうだんみたいなしゃべりかたをするびりっかすが、いやにまじめに、やさしくいった。

次回、最終章です。