福西です。
『ぬすまれた夢』(ジョーン・エイキン、井辻朱美訳、くもん出版)を読んでいます。
「6 探しもの──足をひと組」を読みました。
カルという少年が、うぬぼれと傲慢が昂じて、チョウをいじめます。
すると「つばさのあるものの女王」が現れて、問いただします。
カルは「ただのつまんないチョウじゃないか」と抗弁します。
女王はカルに罰を与えます。カルの片足(カルにとっての羽)が、体を見捨ててどこかへ行ってしまいます。
「ぼくの足をとる権利があるのか! こんなの不公平だ!」
とカルは訴えます。しかし女王は、
「おまえがわたしのチョウにしたことも、公平ではないでしょう」
と答えます。カルはなおも非を認めず、「きたない魔女」と女王をののしります。
すると、もう片方の足まで、カルを見捨ててどこかへ行ってしまいます。
カルは仕方なく、広告を出し、足を探します。けれども見つかるのは、別の足ばかり。
「チョウを助けること」がない限り、カルの受けた罰は解けないのでした。
この事件があってから、カルは別人のようになります。
ある時、罰を解く方法を知らないカルは、無意識のうちに、プールでおぼれているチョウを助けます。
するとカルの体が浮き上がり、飛んでいった先には、カルの両足が待っていたのでした。
前回読んだ「さけぶ髪の毛」では、無意識におかした罪を意識的につぐなうお話でした。今回はその逆で、意識的におかした罪を無意識につぐなうという話でした。