山下です。
過去の巻頭文を読み返しました。
「表題はウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』(5.231)にみられる表現です。
船による競技が最大の盛り上がりを見せる場面で、勝利を確信し全力を尽くすトロイアの漕ぎ手たちについてこういわれます。
このとき、喚声は倍に高まる。あとから追う船に全員が
熱烈な声援を送り、天空が割れんばかりの叫喚が響く。
こちらでは、栄光は自分たちのもの、栄誉は手中のもののはず、
手にできぬは恥、誉れのためには命を賭してもよい、と思う。
こちらには僥倖が力を与えている。力があると思うゆえに力が出る。
(岡道男、高橋宏幸訳、京都大学学術出版会)」