『リンゴ畑のマーティン・ピピン』を読む(西洋の児童文学を読むC、2022/1/20)

福西です。

『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第2話「若ジェラード」を読んでいます。

若ジェラードの小屋へ、シアの結婚式から酔っぱらい連中が流れてきます。

酔っぱらいは羊飼いに酒を要求します。

遅れて、シアと、その婿であるコーツの荒殿がやってきます。

荒殿は、シアから婚礼のキスを拒み続けられ、大変不機嫌です。シアに「罰」を与えたくて仕方がありません。そこで、身分の低い者とキスをさせることを思いつきます。その相手に、羊飼いの若ジェラードが選ばれます。

皮肉にも、この夜、いままで一度も咲かなかったサクラの木が花をつけます。

シアと若ジェラードは、酔っぱらいの輪の中に追い詰められます。

シアは、若ジェラードのもとを訪れるたびに「おまえのサクラはもう咲きましたか?」とたずねました。けれども、いまは無言のまま、おびえた表情で、若ジェラードを見上げています。

若ジェラードはこうささやきます。

「わたしのサクラが花をつけた」

シアは「そうね。」と言い、キスをします。

このとき、荒殿の怒りが若ジェラードを殺してしまうと直感したジェラードじいは、まっさきに若ジェラードを杖で打ちます。ここで若ジェラードに死なれては、領主との約束がご破算になるからです。

気をそがれた荒殿は、剣の鞘で殴るにとどめます。

「これが、きさまへのキスだ」と。

その後、荒殿の取り巻きが悪乗りして、若ジェラードによってたかって打擲のキスを与えます。

若ジェラードは意識を失います。