福西です。
『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第2話「若ジェラード」を読んでいます。
若ジェラードの小屋へ、シアの結婚式から酔っぱらい連中が流れてきます。
酔っぱらいは羊飼いに酒を要求します。
遅れて、シアと、その婿であるコーツの荒殿がやってきます。
荒殿は、シアから婚礼のキスを拒み続けられ、大変不機嫌です。シアに「罰」を与えたくて仕方がありません。そこで、身分の低い者とキスをさせることを思いつきます。その相手に、羊飼いの若ジェラードが選ばれます。
皮肉にも、この夜、いままで一度も咲かなかったサクラの木が花をつけます。
シアと若ジェラードは、酔っぱらいの輪の中に追い詰められます。
シアは、若ジェラードのもとを訪れるたびに「おまえのサクラはもう咲きましたか?」とたずねました。けれども、いまは無言のまま、おびえた表情で、若ジェラードを見上げています。
若ジェラードはこうささやきます。
「わたしのサクラが花をつけた」
シアは「そうね。」と言い、キスをします。
このとき、荒殿の怒りが若ジェラードを殺してしまうと直感したジェラードじいは、まっさきに若ジェラードを杖で打ちます。ここで若ジェラードに死なれては、領主との約束がご破算になるからです。
気をそがれた荒殿は、剣の鞘で殴るにとどめます。
「これが、きさまへのキスだ」と。
その後、荒殿の取り巻きが悪乗りして、若ジェラードによってたかって打擲のキスを与えます。
若ジェラードは意識を失います。