山下です。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に「はかなきは人の世の営み」というフレーズがあります。
原文は、sunt lacrimae rerum et mentem mortalia tangunt.(aen.1.462)です。
『ギリシア人・ローマ人のことば』(岩波ジュニア新書、中務哲郎・大西英文)の解説は次の通りです。
「この作品にはまた、これと相通ずる、もう一つの通奏低音が流れていることも見逃せません。それは、ホメロスもまた「涙多き」と形容した「戦(いくさ)」を頂点とする人の世の営み—歴史—の流れのなかに、はかなくも消えていった者たちにたいする共感あるいは愛惜(あいせき)の念のようなもの、といえばよいでしょうか。祖国トロイアの落城を描いた絵を見て、涙しながらアエネアスが語った「はかなきは人の世の営み・・・」という標題の一句に、そのパトス(情感)が凝縮されているかのようです。」
文法の詳細はリンク先にあります。