「ぬすまれた夢」を読む(ことば2年、2022/1/19)(その2)

福西です。

(その1)の続きです。

 

次に困ったのが、カシの木にくっついていた、ヤドリギでした。もしカシの木が死んでしまったら、自分も死んでしまうからです。

(ヤドリギとヤドリギの実。wikipedia “Viscum album”より)

そこで、ヤドリギの実の首飾りを、森バトを通じてポリーに届けました。しかしポリーはそれがカシの木からだとは知りません。一方、首飾りで美しくなったポリーに、若者が一目ぼれし、二人は結婚します。

森バトとヤドリギは、ポリーがますます遠くへ行ってしまうのではないかと心配しました。

しかし、そうはなりませんでした。

子どもは何人ほしいかという話になった時、ポリーが自分のゆりかごのことを思い出したからです。ポリーはゆりかごを見守っていたカシの木のある故郷が無性に懐かしくなり、村に戻って住むことになりました。

次の夏、ポリーには赤ん坊が生まれました。ポリーはその子のゆりかごを、カシの木の下におきました。カシの木は赤ん坊の茶色の髪と青い目とピンクのほっぺを見下ろして、「世界じゅうでこんなにかわいい赤ん坊はいない」と思いました。

人間の生は、木にくらべて「短い」からこそ、サイクルで木に追いつける、というどんでん返しが心地よいお話でした。

時間があったので、『おおきな木』(シルヴァスタイン、ほんだきんいちろう訳、篠崎書林)、『ぼくを探しに』(シルヴァスタイン、倉橋由美子訳、講談社)を読みました。