福西です。
『王への手紙』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)を読んでいます。
1章3「宿への道中」を読みました。
冒頭の「気持ちのいい夏の夜だった」という自然描写が裏腹だと思いました。一方、ティウリは心穏やかではなく、自然を愛でる暇などありません。叙任式に間に合うかどうかの瀬戸際で、内心焦り、怒りっぽくなっています。自然が人の営みに無関心であることは、人間にとってある意味残酷かもしれません。
受講生の要約です。
S.K.君
礼拝堂の裏には、老人の言う通り、馬がいた。ティウリは、ナイフなどの武器を礼拝堂に置いたままだった。「前進」とティウリ。馬は、ゆっくり動き始めた。
ティウリは、森へと馬を走らせた。森はダホナウト市からそれほど遠くない所にある。森の中は、暗かったが、道が広く、馬を走らせることができた。ティウリは、時々、馬の歩みをゆるめ、注意深くあたりを見まわした。
老人が教えてくれた道は、見つかった。
ティウリは、白い盾の黒い騎士のことを考えた。そんな騎士のことは聞いたことがなかった。
ティウリは、台地に出た。騎兵の列が急いで森を駆けていくのを見た。
夜の明ける寸前に、ティウリは2番目のひらけた場所に着き、小さな木造の建物を見つけた。
H.F.さん
気持ちのいい夏の夜だった。礼はい堂のうらには手づなもくらもついていない馬がいた。ティウリはたづなをほどいた。犬がほえはじめ、農家に明かりがついた。「こらー」とつぜん大声がした。そのあと、どろぼうだといわれティウリはおどろく。ティウリは馬を走らせながら、心の中であやまった。ティウリはときどき注意深くあたりを見まわした。もうどのくらいたっただろう、とティウリは思った。ティウリは一本の木もはえていない台地にでた。騎兵たちが森をかけていく。しばらく時間をおくとふたたび台地に出た。空が白みはじめていた。その時宿が見えた。
Y.Y.君
礼はい堂のうらにはたしかに馬がいた。さくにつながれ手づなもくらもない。よかった。一度馬具をつけていない馬にのったことがあって……馬がいなくて犬がほえはじめ、それから数分もたたないうちに農家にあかりがついた。「こらー」とつぜん声がした。どうやらティウリはどろぼうとかんちがいされたようだ。けれどそのまますすんだ。よくみると騎兵がぶきをもって森をかけぬけていく。夜のあけるすんぜんにティウリは、宿にちがいないところにたどりついた。