山下です。
セネカの『倫理書簡集』に次の言葉があります。「虚妄に喜ぶ」人の多い中、本当の喜びとは何かをセネカは追及しました。
<和訳>
私はなにか私にも君にも役に立ちうることを書こう。だが、君を励まして立派な精神へ向かわせること以外に何を書くことがあろう。立派な精神の土台とはどんなものか、とお尋ねかな。虚妄に喜ばぬことだ。これが土台だと私は言ったが、それは天辺だ。頂上に到達した人とは、自分が何に喜ぶべきか知つている人、自分の幸せを他人の支配下に置いたことのない人だ。(人が思い悩み、心が定まらないのは、なにかを期待して気持ちが突き動かされるからだ。それは手近な期待でも、困難なことを目指していなくても、期待を裏切られたことが一度もなくてもそうだ)。わがルーキーリウスよ、君がまず第一になすべきは、喜び方を学ぶことだ。(高橋宏幸訳、岩波書店)
リンク先で原文の逐語訳と文法の解説を行いました。