『しずくの首飾り』を読む(ことば2年、2021/10/20)

福西です。

『しずくの首飾り』(ジョーン・エイキン、猪熊葉子訳、岩波少年文庫)を読んでいます。

第5話「三人の旅人」を読みました。

「きみたちのねがいはかなったよ、おふたりさん。ぼくには一週間の休みをとるだけの貯金ができたんだ。スミスくんは信号で汽車をとめなさい。ブラウンくんはぼくのきっぷを切るんだ。そしたら、ぼくは汽車でいけるところまでいって、ちょっと世のなかを見てくるよ。」

なんとも味のいいセリフです。

教科書にも掲載され、エイキンの短編で一番有名な話だと思います。好きな方も多いのではないでしょうか。

クラスでは、一段落ずつ読み手を交代しているのですが、その交代のたびに、私を含めた三人の間で話が飛び交います。

筋の見事な展開に対する讃嘆、登場人物の心の機微への共感、そして奇想天外な設定に対するツッコミが、お互いの言葉をきっかけに、連想ゲームのように浮かんでくるからです。

今回の物語では、その傾向がこれまで以上に強く現れ、ふつうなら一時間で読み終えるところを、三分の一だけ読みました。

それだけ密に読めることが、とてもうれしいです。

作者のエイキンも、きっとそれは喜んでくれているのではないかなと思います。