福西です。
小学生クラスの方です。
9章「クローディアの秘密」の続きです。
夫人は、クローディアをいくつかの固定観念から解き放ってくれます。
この章の夫人の言葉は、作者カニグズバーグのそれが乗り移ったものでしょう。それが教訓めいて、読者の心を素通りしないのは、夫人の一貫した態度にあると思われます。
つまり、夫人は、最初から最後まで、二人の子供の珍客に対して「人間」であり、そして二人を「人間」として遇しています。大人と子供というヴェールを取り払って、人間と人間で腹を割って話しているのです。
だから対等な相手であればこそ、何の容赦もありません。
夫人はそもそも、本物との会話にしか興味を示さないのです。そこにブレはありません。
つまり、クローディアたちが本物である限り、夫人とはいつまでも話ができるのです。
それがこの本を読んでいて、快い要素です。
夫人は過去を多く持ち、クローディアたちは未来を多く持っています。
しかし、過去と未来は、永遠から見て、等価です。
天使像の秘密は、その「永遠点」です。
クローディアたちと夫人がお互いの持っている秘密は、永遠の意味において交換可能なのです。
夫人の好奇心は、クローディアたちが美術館にいた出来事に揺さぶられます。
そして天使像と「同等の興味」を抱きます。
美術館での出来事をすっかり話すこと。
それを条件として、二人は、夫人のファイルを「一時間だけ調べること」を許されます。
そしてついに、天使像がミケランジェロの作である証拠、一枚のスケッチを見つけます。
クローディアは、スケッチを抱きしめます。「天使像を抱きしめる」という念願がかなったのでした。
かわりにジェイミーが夫人に質問します。おばさんは何を一番したいかと。
夫人は、「あなたたちのお母さんのように、うんとあなたたちを心配してみたい」と答えるのでした。
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