福西です。
『クローディアの秘密』(カニグズバーグ、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)を読んでいます。
小学生クラスの方です。
9章「クローディアの秘密」に入りました。いよいよ佳境です。
物語の書き手である、いわば劇の外のフランクワイラー夫人が、劇の中にようやく登場しました。
クローディアとジェイミーは、残りの全財産(ジェイミーのこだわりであるそれ)を使って、タクシーに乗り込みます。
家とは逆方向の、コネチカット州へ。そこに、天使像のもとの持ち主である、フランクワイラー夫人の屋敷があるからです。
屋敷は美術館なみに大きくて、「もし美術館なら、ぼくたち気が楽だね」と二人は言い合います。
夫人は、二人をわざと長く待たせた後、ようやく会ってくれます。そして話すうちに二人を認めます。
夫人は、美術品でも人間関係でも、「本物」にしか興味を持ちません。それなので、夫人と話す時には、うわべをつくろったり、予防線を張るような言葉はいっさい不要です。
クローディアは、ところどころ、ステレオタイプの意見を言ったり、警察への通報を心配して、夫人の機嫌を損ねるシーンがあります。そこが読者もひやひやするところです。