西洋の児童文学を読むC(2021/10/21)

福西です。

今回は、受講生の要望で、俳句の作り方を説明しました。(>参考記事

「うれしい」「心が揺れる」「どきどきする」

こういった気持ちを、言葉で丁寧に説明しようとしても、十七音では短すぎます。

俳句では、心は「季語」が代弁してくれます。

「うれしい」なら、たとえば、チューリップ。

「心が揺れる」なら、たとえば、コスモス。

受講生の話では、「渡したいものがあって、渡せずにどきどきする経験が書きたい」とのことでした。

さらに、「飴二つ」という具体的な物が出てきました。

 

「揺れる心」の部分ですが、そこはあえて書かずに、たとえば「コスモスや」とします。

そうすると、季語が代わりに語ってくれます。

こういうのを、「季語に託す」といいます。

 

そして、残りの十二音で、飴のことを書きます。

最初のうちは、本当に言いたいことが伝わるのかな? と心配になります。

でも、俳句は、もともと短いことがとりえの詩です。

そのとりえの一つは、「繰り返し読むのが楽」ということです。

つまり読者は、一読してわからなかったら、それなりにリピートしてくれます。

そして、足りない情景は想像で補ってくれます。

それを期待すればいいので、全部言わなくてもいいのです。

これを「読者を信頼する」といいます。

(もちろん無責任にならないように、一生懸命工夫した上でです)

 

ということで、一つの型として、(上五か下五の)五音は季語に使い、残りの十二音は、読者が想像しやすくなるような「手がかり」を置くことに使います。

 

さて、受講生の話では、「飴を手に握っていることと、白昼の暑さで溶けそうな飴を書きたい」ということでした。

そこで、まずは「季寄せ」で「季語さがし」をしました。

炎天、酷暑、汗、夏の雲、向日葵などを目にしながら、最終的に、受講生は「苺」を気に入ってくれました。

その傍題の「苺畑」が、「コスモスや」みたいに上五に置くのに都合がよさそうです。

そして残りの十二音の中に何を削って何を残すか、また季語をいろいろと変えてみることで、実作をしました。

80分間で決定句は出ませんでしたが、以下のところまで固まりました。

苺畑〇〇〇〇〇〇〇飴二つ

中七の〇〇のところに何を入れるのか、続きはお家で作ってくれるそうです。

苺畑と飴二つという、一見関係のないものから、どのようなが飛び出すのでしょうか。

できた句を教えてくれることを、楽しみにしています。