福西です。
新しいテキスト、『星モグラ サンジの伝説』(岡田淳、理論社)を読み始めました。
「はじめに」を読みました。
作家である「わたし」が、人間の言葉を話すモグラと出会います。そのモグラ(ナンジ)は、「わたし」に一つのことを頼みます。
それは、
「これから話す物語を、本にしてほしい」
ということでした。
そのモグラは「本」というものに強いあこがれを抱いています。モグラ同士の口伝えは、筋も細部もばらばら。それを「同じ内容で伝えたい」というのです。
「ああ、本。本ということばをわたしは知っています。それがページというものでできていて、字というものがならんでいることも知っています。けれどわたしは、本というものがほんとうはどんなものなのか、まるでわかってはいないのです。とにかくあなたにおねがいするしかないのです。おねがいします。どうか本にしてください」
願いをかなえられるかどうかは、とりあえず聞いてみなければと、人間の「わたし」は応じます。
「主人公のモグラは、サンジという名前なんです」
こうして第一章がはじまります。
つぎの俳句を紹介しました。
ほろほろとむかご落ちけり秋の雨 蕪村
むかごが三秋の季語です。