福西です。
『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)を読んでいます。
「前奏曲」を読み、「第1話 王様の納屋」を読みはじめました。
マーティン・ピピンが園の中で、六人の乳しぼり娘たちと会話します。
娘たちの性格が少しずつ浮き彫りになります。
一番きつい性格は、一番年長のジョスリンです。
彼女は年長者として「こうあるべし」という硬派な態度をとります。マーティン・ピピンの軽口に対しても常にツンツンしています。
そして彼女の意見を、他の五人が「そうだそうだ」と追従する感じです。
ところが、一番小さいジョーンだけは、その「そうだそうだ」のトーンが少し弱いのです。
幼い分、マーティン・ピピンにすぐに親近感をおぼえます。
そこで、マーティン・ピピンは、一つ目の恋物語を「ジョーン仕様」で語ります。
第1話「王様の納屋」の主人公は、アルフレッドという独り身の若い王様です。
しかし彼にはペパーという老馬のほか、財産がありません。そして領地といえば、納屋が一つだけ。
王様は旅に出ます。そこで二つの両極端な生き方の勧めを受けます。
一つは「踊って暮らす」。もう一つは「祈って暮らす」。
王様は占い師に「どちらがよいか」をたずねたところ、「両方するがいい」という助言を受けます。
王様はどうしたものかと悩みます。
王様は「祈る」方に心を惹かれ、ハト宗という教団に入信します。
その入信の条件として、月に四度、土曜日の夜に、丘のてっぺんで木の間に座り、無言の行をすることを課せられます。
そのことは、誰にも知られてはなりません。
王様は期待を膨らませて、その条件をクリアしようとします。