エイキン『しずくの首飾り』について(ことば2年生)(その1)

福西です。

ことば2年生では、『しずくの首飾り』(ジョーン・エイキン、猪熊葉子訳、岩波少年文庫)を読みます。

これはぜひ多くの生徒さんに来て、読んでほしい作品です。(なので宣伝します)

たとえば、表題作の「しずくの首飾り」は、こんな話です。

北風が、ジョーンズさん家のヒイラギの木に引っかかります。(北風は人の姿をしています)

ジョーンズさんは北風を下ろし、助けたお礼として、首飾りをもらいます。

北風は、ジョーンズさんの赤ん坊(ローラ)の名付け親となり、毎年、1つぶずつ、雨のしずくを持ってきて、首飾りにつけてやると約束します。

ローラは、幸福に育ちます。あるとき自分に「雨を止める」力があることに気づきます。ただ、ローラはその力を自分のために使いたいとは思いませんでした。なぜなら、そうしなくても十分、今の生活に満足していたからです。そしてますます幸せに暮らします。

ところが、それを妬んだ同級生のメグが、先生にいいつけます。

「しゃくにさわるったらありゃしない。ローラがあんなきれいな首飾りをもってて、雨をとめることができるのに、どうしてあたしには首飾りがないのかしら?」

そこでメグは先生のところへいって、いいつけました。「ローラが首飾りをしています。」

そのつげぐちを聞いた先生は、ローラにいいました。「いい子だから、学校にくるときには、その首飾りをはずしていらっしゃい。それが規則です。」

しかし、「首飾りを肌身はなさず持っていること」というのが北風との約束なのでした。ローラは約束と規則との葛藤に遭います。

結局、首飾りは没収され、その後メグ、メグの父親、宝石店に渡ります。

それから商人の船に乗り、海を越え、アラビアの王さまへと送られます。

ローラはそれを追いかけます。

首飾りが離れていくことは、ローラにとっては悲しい展開です。しかし見方を変えると、世界を広げる冒険でもあります。それがこの作品の味わいです。

さて、最後はどうなるのでしょうか。クラスで音読するのが今から楽しみです。

 

(その2)に続きます。