かず1~2年A(1016,23,30)

福西です。ダイジェストになりますが、ここの3週間分のしたことを書き留めておきます。(いつものパズルやドリルの様子は今回は割愛します)

 

10/16

 

この日は、偶数と奇数の法則性について考察しました。偶数と奇数という言葉は、このクラスではしばしば耳にし、これからもきっと耳にしていくと思いますが(^^)、学校で習う習わないは別にして、数学の大事な基礎として、取り上げることにしています。

 

調べたことは、以下の三つです。

 

1)偶数+偶数=?

2)奇数+奇数=?

3)偶数+奇数=?

 

これらを、具体的な数を使って、帰納的に考察しました。

1)で言えば、2+4=6、10+12=22、100+2=102・・・と、どれも足し算の結果は「偶数」となります。それを生徒たちには調べてもらいました。

 

証明にまでは至りませんでしたが、偶数は「2+2+2+・・・+2」とできるというのが、クラスでつかんだ認識でした。一方、「偶数+2=偶数」です。つまり、偶数+偶数=偶数+「2+2+2+・・・+2」=「偶数+2」+「2+2+…+2」=「「偶数+2」+2」+・・・+2と、+2ずつ左の偶数の中に取り込んでいって、結局、全体の和も偶数になります。

 

これを、飛び石渡りでイメージすると、「最初が偶数の石で、そこから1個飛ばし(+2ずつ)に飛んでいけば、ずっと偶数の石を踏み続ける」という感じになるでしょうか。

 

では、奇数+奇数は、どうでしょうか。

 

授業では、先ほど「偶数同士」を足せば「偶数」だったので、「奇数同士」を足せば「奇数」であろうという予想がなされました。そして、いざ具体的な数で調べてみると、そうではないことがわかりました。

 

3+5=8です。また11+13=24、101+3=104です。(ちなみにこの例は、上にあらわした例に1ずつ足した数です)

 

なんと、偶数ですね! そう、奇数+奇数=偶数なんです。このような不思議をあたりまえだと思うか、やってみて「おお」と思うか(ぜひ「おお」と思ってほしいわけですけど(笑))、そこを見たいというわけです。

 

同様に、奇数+偶数も、(これは奇数という予想でした)、1+4=5のような簡単な例から複雑な例まで、思いつくだけ挙げてみて、結果、「奇数である」ということを調べました。

 

10/23

この日の後半は、「クイーン問題」というものをしました。正式にはエイトクイーン問題というのがあり、授業でしたのはその4×4マスと5×5マス版です。

 

チェスのクイーンというと、飛車と角を合わせた動きをしますが、それを一辺nマスの盤の上にn個(4マスなら4個)配置して、「たて・よこ・ななめ」の同じ筋にクイーンが二個以上いないような状況を考えます。つまり、互いにクイーンの動きがぶつからないようにします。(授業ではこのぶつかることを「けんか」と呼び、ぶつからないことを「平和」と称していました^^)

 

生徒たちは、試行錯誤しながら、クイーンを1つ1つ置いていっていました。そうこうするうちに、「重ならないようにはどうすればいいか?」というコツがわかってきて、4マスはあっという間に解いてしまいました。

 

クイーン問題が面白いのは、一つには「必然性」を追いかけることがあります。たとえば、ある列で2行目(上から2番目)に置いてしまったら、他の列では、もう2行目に置くことはできず(でないと今のとぶつかる)、それ以外の行目で考えなければなりません。そうやって、たとえば4マスの場合、

 

1列目=2行目

2列目=4行目

3列目=3行目

 

と置いていけば、最後に置く

 

4列目のクイーンは、必ず「1行目」

 

という「1通り」に決まってしまいます。つまり、どんなに最初の方でぶつからないように置いていったとしても、最後の最後でぶつかるように「置かなければならない」ということが生じてしまいます。それでも、「互いにぶつからない」という解を見つけ出すのがここでは問題とされているわけです。

 

以下は、5マスの場合の生徒たちと考えた結果です。

5マスの場合。赤のように置くか、青のように置くかで、2通り考えられます。これを見つけただけでもすごいと思いますが、あとはそれらの回転で、2×4=8通り見つかったことになります。

 

では、これでもう探すのは終わりでいいでしょうか?

 

いえいえ、まだ存在します。上の場合だと、回転を含めて考えた際に、せっかく見つけた答が「すでに見つけた答と同じ」ということがよくありますが、上のパターンと決定的に違うものを考えたいとすれば、どこに注目すればいいでしょうか?

 

そうです。「真ん中」です。上のパターンでは、真ん中にはクイーンが置かれていませんでした。(どんなに回転させても、真ん中が空いていることにかわりはありません)。つまり、次は「真ん中に置かれた場合」を考えればいいのです! そして、そのような場合、クイーン同士がけんかしない場合がありえるのでしょうか…?

 

はい、ありました! これが、その考えた結果です。黄色と緑とで、2通りあります。ただしこの場合は、回転させても同じパターンになるので、2通りは2通りのままです。

 

よって、5マスの場合は(回転も含めて)「10通り」という結論に達しました。(そのあともしばらく考えたのですが、ずらし方をすべて試してみ、これ以上はないということがわかりました)

 

なお、今回は4マスと5マスだけで考えましたが、実は、マス目が「奇数か偶数か」によって、大きく問題の性質が異なるということが知られています。そのことも、いつか大きくなってから、調べてみるのもいいのではないかと思います。

 

ちなみにこのクラスで「クイーン問題」を取り上げたのは、今パズルでしている「足し算パズル」と関係があるからです。また、これからする予定の「ビルディング・パズル」というものにも、今回の「思考パターン」が含まれています。ですので、そこで得意になってもらうために、この日した「感覚」をとどめておいてもらえれば幸いです。

 

(ビルディングパズル。ビルの配置が、ななめを抜きにしたクイーン問題と同じです)

 

10/30

この日の後半は、「4目ならべ」をしました。といっても、碁石を使ったそれではなくて、立体的な(あるいは重力のある?)4目ならべです。これも、「必然性」を追いかけるトレーニングです。

 

ルールは簡単で、赤、青のコマを、互いに一つずつ枠の中に落としていき、たて(高さ)、よこ、ななめに4マス並んだ方が勝ちとします。

ちょっと見にくいですが、写真は「青」が勝ったところです。一番下の段に青が3つならんでいますが、なぜこれで青が「勝った」のでしょうか? それは、たとえ赤が片方の端に(赤を)入れて止めたとしても、(その次が青の番なので)もう片方の端に青を入れられてしまうからです。このように、「両取り」で勝つことを考えるのが基本です。

 

最初は生徒同士で何度か対戦してもらい、慣れてきたところで、私を相手に挑戦してもらいました。(そうしながら手を覚えてもらいました)。最後の勝負では、Sちゃんがとても惜しかったです。コマが残り2個となるまで勝負がつかず、白熱した展開になりました。が、最後の最後で、コマを入れる場所がなくなってきて、どうしてもSちゃんのコマが、「相手の4目完成のお手伝いになってしまう」状況が出てきたのでした。それは、順番が違っていれば、引き分けになるところでした。なので、惜しかったです!(^^)

 

このパズルは生徒たちの興味をひいて、面白かったようなので、またしましょう。さて、どうやったら強くなれるかな?!