福西です。近況をお伝えします。
2年生のR君とM君は、錯角や対頂角を使う問題をしています。一次関数のときもそうでしたが、角度の問題もまた、食べず嫌いにすておくと、大いに損をしてしまう分野です。最初はほんの少しだけ図形に目を慣らす必要がありますが、それを我慢すれば、あとはパズルを解くような楽しさが待っています。ここでたくさん(授業だけでなく、問題を自分でも漁って)得意の経験値を稼いでもらえればと思います。
また計算自体は一次関数の時よりもずっと簡単なので、(それで油断しないのはもちろんですが)、「どうすれば計算が楽にできるか」という観点でも、積極的に踏み込んでください。つまり、180-…、180-…と、同じ計算を繰り返さないように(計算間違いのもとをわざわざ自分でこさえないように)「外角の定理」など、一度「便利だ」と納得した道具は積極的に使えるようになりましょう。
続いて、多角形の角度の問題をしました。これも食べず嫌いにすると「もったいない」というか、むしろ「ワンパターン」な問題です。次のように、3角形の内角の和が180°であることを積み上げて考えます。
4角形:3角形×2個→内角の和=180°×2=360°。
5角形:3角形×3個→内角の和=180°×3=540°。
6角形:3角形×4個→内角の和=180°×4=720°。
(6角形の場合は、三角形が4個)
ただ、これの「繰り返し」です。絵にかいてください。公式のように覚えようとすると、n角形の内角の和は、180×(n―2)となりますが、nではなく、n-2であることが、おそらくつまづきの石になりやすいかと思います。けれども、絵にかけば必ずその疑問点は取りのぞけますので、自信のないうちはまず三角形をかきましょう。
M君は帰納的にその作業をして、この点に合点がいったようでした。そして「公式にしてしまえばええんや! 180×(n―2)のnに当てはめるだけでええんや」と、しきりに「公式」を隣にいるR君に勧めています。その過程なり変化が面白いと思います。つまりM君は、「公式にして覚えられるほどその理解には自信がある」と言ってくれているわけです。それはもちろん、絵にかくというステップがあってこその結果です。一方、R君はまだその納得には弱いところがあるので、今はそのつど、三角形をかいてもらっています。もちろんそれでいいわけです。公式を便利な道具として使う段階には、そのあとで至ることでしょう。
R君とM君には、なぜn-2かという説明に、もう一つの理解の仕方をしてもらいました。つまり、多角形を三角形に分割する方法は、「ケーキのように分ける」方法もあるということです。
図のように真ん中に集まるようにして切ると、6角形は6個の三角形になります。この方が数字がそろって、考えやすいかもしれません。□と●の全部が、分割した三角形のすべての角です。しかし、6角形の内角の和には、●の分だけ余計に数えていることがわかります。ここでR君が、「一周は360°!」と答えてくれました。そうです。つまり、360°を引けば、それが内角の和となります。
n角形の内角の和=180×n―360
そして、この360°とは・・・「180°の2倍!」とこれまたR君が答えてくれました。ということは、「3角形2個分! つまり、それを引くってことか」とR君。そうなのです。これが「-2の正体」です。一方、M君にとっては、またさらに理解の補強になったようで、「なるほど」と満足げに聞いてくれていました。
これは一般的な話ですが、中学校で習う数学は、必ず「わかる」ようにできているので、くれぐれも問題を見た瞬間、自分から先に「無理!」という言葉を発して限界を設けないでください。それはとてももったいないことだと思います。(「分かりたい」という気持ちがある限り、いくらでも応援の仕様はありますが、「無理」に対しては、本当に教える側も「無理」なのです)。
あとは家で「わかった!」が、「わかった?」にならないように(^^;)、自分からも問題を漁って復習してください。自分が自分を変えることのできる第一人者です。