福西です。
(その1)の続きです。
『ポリーとはらぺこオオカミ』(ストー、掛川恭子訳、岩波書店)の最後、7章「短いお話」です。
オオカミは、ポリーの家の花畑で、花占いをしています。
「手にはいる、手にはいらない。」
と。受講生たちはもちろん何が手に入らないか、承知です。
ポリーはオオカミの作業を見て、こんなことを言います。
「これが、世界中にあるヒナギクぜんぶっていうわけじゃないわね、オオカミさん。」
最初は一輪。
つぎは花畑全部。
つぎは世界中。
その最後の花の、最後の花びらが「手に入る」で終わったら、
「食べられてあげてもいいわ」
と。
オオカミは、「世界中なんて、とても一年じゃ間に合わない。しかも毎年咲くんだから、やり直しになるじゃないか」と抗議します。
ポリーは「ええ、そうね」と残酷なまでにうなずきます。
「一つのことにみをいれると、かなりのことをやりとげられるのよ。それに、そのうち、ずっと早くやれるよになるでしょうし。練習がものをいう、でしょ。」
これは以前、オオカミが呼吸法を練習して、レンガの家を吹き飛ばせると思ったことの意趣返しです。
というわけで、オオカミは、ポリーの家のしばふで、ヒナギクをつんで、日をおくっているのです。
読み終えてから、「この終わり方は『だれ』にとってのハッピーエンドなのでしょうか?」
と、受講生たちに質問しました。
「ポリー」
と返事が返ってきました。
「じゃあ、オオカミは?」
と。
それは、おそらく、この本の冒頭の挿絵が物語っているのだと思います。
キャサリン・ストーの作品は、「軽み」のあるうえで、きちんとしていて、味わい深いです。
というわけで、受講生のみなさま、一冊読了おめでとうございます。