山下です。
この20年間で大学は大きく変わってきました。
第2外国語、第3外国語の選択肢が年々少なくなっているようです。
グローバル時代、多様化の時代と言われて久しいのですが、英語一本でなんとかしようという発想は世界の知的トレンドのちょうど逆を行く選択です。
短時間で効率用句実践的技術を身に着けるというアイデアは個人の領域にとどめおき、大学という存在はそれが「真理」を探究する場であるという「建前」に立ち返り、多様な言葉に接する機会を従来にも増して提供していただきたいと願います。
偉そうな言い方に聞こえるかもしれませんが、このまま下手をすると、山の学校のほうが一般的な大学より充実した語学クラスの選択肢を提供しているのではないか、ということになりかねません。
じつは、5/28(金)に「ドイツ語初級」・「ドイツ語講読」のガイダンスがあり、続いて6/6(日)には「フランス語講読」のガイダンスがあります。
ドイツ語の吉川先生とクラスのことで打ち合わせをしたさいのこと。ドイツ語初級のクラスを「中学以上」としたいという先生の意図をおうかがいすると、「私が中学でドイツ語を学んだからです」というお返事が返りました。先生は高校時代にドイツに留学したご経験の持ち主です。そういうわけでこのクラスは「中学以上」としています。
留学するかはさておき、中学時代に英語以外の外国語を学ぶ意義は大いにあると思います。
学校の勉強は大切です。それはそれとして大事に取り組み、その一方、趣味として(ゲームを楽しむように)第二外国語という勉強にチャレンジするのもゲームに置き換わる(あるいは共存可能な?)有効な時間の使い方ではないでしょうか。
学校の成績命という人にはそうした余裕はないでしょうが、本当の学びはジャンルを限定せず、あれもこれも興味の赴くままに手を広げることをよしとします。
学校の勉強にさしさわる、という観点でいえば、多くの選択肢が「無駄」扱いされます。
その「淘汰」の結果、かりに思い描いたシナリオどおり学校の勉強がはかどったとしても、別の見方をすると、その態度は決められた枠の中に安住する精神が身につくリスクを抱えている、ということになります。
学校の成績は、わき目を振らず一直線に取り組んだ方が、短期的には伸びるものです。
それは、ゴムひもをたばにして伸ばすより、一本にしぼって伸ばした方が長く伸びるのと同じ理屈です。
人生で大切なのは、たくさんのゴムひもを一度に長く伸ばす「知的筋力」です。目先の「成績」アップにとらわれ、「楽な伸ばし方」に慣れっこになると、大学や社会において、多数のゴムひもを同時に伸ばすミッションが与えられたとたんにギブアップとなるでしょう。
今述べた「知的筋力トレーニング」は中学時代から始めて早すぎることはありません(これは受験勉強とは別の話です)。
そういえば、かつて、広川先生の「ギリシャ語初級」のクラスに中学時代から通い詰めた生徒さんもいました。
山の学校は、真の知的筋力アップを願う生徒にとって、どこまでもその好奇心にこたえ得る場所だと思いますし、そうありたいと願います。
2021-05-26 第2外国語について
- 更新日:
- 公開日: