山びこ通信2007年3月号より転載します。
「ことば」3~4年生 担当 浅野直樹
ようやく春めいてまいりましたが、みなさまにおかれましては健やかな日々をお過ごしのことと存じます。
昨年の春からこのことばのクラスを担当させていただいて、もうすぐ一年が経とうとしています。前号の「山びこ通信」にも書きましたように、子どもたちの成長には目を見張るばかりです。12月からの冬学期における、生徒たちのさらなる成長をご紹介しましょう。
あるときの授業で漢字パズルをしました。上下左右に漢字が配置されており、真ん中に入れて四つ全て熟語ができるような漢字を当てるという定番のものです。生徒たちが今現在どの漢字まで習っているかを考えずに用意してきたのですが、ヒントをあげるとほとんど自分たちで正解を思いついていました。日常的に使う熟語はもうかなりの程度理解できるようです。
また別の授業日には資料を読んで感想や意見を書くということに挑戦しました。テーマは「いじめ」についてで、最近公文書となった、自殺をした生徒の作文や、どうすればいじめをなくせるかについての小学生の作文を読みました。大人でも簡単に答えを出せる事柄ではありませんし、難しく感じられたかもしれません。しかしこうしたことについて少しでも考えることは、これからの学校生活において重要だと思います。もし自分がいじめられたら、やり返したほうがいいのか、放っておいたほうがいいのかと、少し議論らしい展開にも発展しました。また、ある生徒がまだ習っていなく、読めない漢字が資料に出てくるたびに読みがなをメモしていた姿も印象的です。
このように喜ぶべきことが多くはありますが、気がかりな点もございます。
それは、間違いを過度に恐れることです。例えば漢字の書き取りのプリントをして、私が丸つけをして間違いを赤ペンで直そうとすると、生徒たちは慌てて横からプリントを取り戻して正解を書き直すのです。もちろんこれでも勉強になるから構わないと言えば構わないのですが、間違いを過度に恐れる(表面上の点数を過度に気にする)ということが気がかりなのです。小学校ではともかく、この山の学校では表面上の点数で評価をするようなことはしていないのですから、間違いを恐れず、のびのびと学習に取り組んでもらいたいものです。先ほどの例で欲を言えば、間違えた箇所をノートで十回練習するくらいの心構えを養いたいです。
同じような姿勢は作文でも気になりました。生徒たちからたびたび「○○のことでもいい?」などと聞かれるのです。作文では内容に関して間違いなどないのですから、自由に思い切って書いてもらいたいものです。本を読んだ後には感想を書いてもらうようにしているのですが、紋切り型のコメントが目立ち少々残念です。これも間違いを恐れるためかもしれませんし、単純にその他の感想を思いつかないだけかもしれません。
今回は少し厳しいことも書きましたが、全体としては順調だと言えるでしょう。小学生のことば(国語)の段階では、何より嫌いにならず楽しく取り組むことが最重要だと思いますので、これから進級しても楽しく、そして真剣に取り組み続けられることを願っております。