福西です。
『ポリーとはらぺこオオカミ』(ストー、掛川恭子訳、岩波書店)の4章「れんがづくりの家」を読みました。この話も落語みたいです。
受講生たちがとくに面白いと感じたのは、次の二つのシーンでした。
1)自信満々のオオカミのふいごが、「ぷしゅっ」としか言わなかったこと。
2)オオカミが「爆弾だよ」と自然に言うこと。
今回、オオカミが読んできた本は、『三匹のこぶた』。
ほかにも、大きく息を吸うために『運動万能になる方法』を読んできたり、だんだんと知恵をつけるオオカミ。ところがどっこい、現代建築の家は息ぐらいではびくともしませんでした。
「長いこと練習すれば、できると思ったんだ。だって、あのブタたちの話って、ずっとむかしのことだろう。そのころからみたら、いきをはく方法だって、ずっと進歩しているんじゃないかな。科学の驚異、とかいうやつさ」
「練習」とか「進歩」という言葉が出てくるオオカミ。まるで現代人の風刺画のようです。
次に登場したのが、ふいご。
「『このふいごを、適切に使用したる場合は、時速四十マイルそうとうの風力をおこすことが可能なることを、保証する。』どうだい、ポリー、保証つきだぞ」
オオカミはうれしそうです。でもやっぱりうまくいきません。
「へっ、何が保証する、だ」
とぶりぶり怒るオオカミ。
そのあとに取り出されたのが、小がたの西洋カボチャみたいなもの。
「それ、なんなの?」
ポリーはおもわず、みをのりだしました。
「爆弾だよ」
オオカミが、あたりまえのことみたいな口調でいいました。
しかしその説明書を、「保証つき」という文字を見たとたん不機嫌になり、ポイと捨てます。
そのせいで使用法が分からなくなっても、後のまつり。オオカミは、
「どこかの男の子に、あげようか。ほら、なんでも分解してみたがる子って、いるじゃないか」
と言い出す始末。
最後に、ポリーの家にえんとつがあることに気づき、「さいごにそうじをしたのは、いつごろだい?」とたずねます。けれどもポリーはいつものようにハッタリをかまし、オオカミを退散させることに成功します。
本当に落語みたいです。
次回は『七ひきめの子ヤギ』です。お楽しみに。