『ポリーとはらぺこオオカミ』を読む(ことば3~4年2021/5/11)

福西です。

『ポリーとはらぺこオオカミ』(ストー、掛川恭子訳、岩波書店)の4章「れんがづくりの家」を読みました。この話も落語みたいです。

受講生たちがとくに面白いと感じたのは、次の二つのシーンでした。

1)自信満々のオオカミのふいごが、「ぷしゅっ」としか言わなかったこと。

2)オオカミが「爆弾だよ」と自然に言うこと。

今回、オオカミが読んできた本は、『三匹のこぶた』。

ほかにも、大きく息を吸うために『運動万能になる方法』を読んできたり、だんだんと知恵をつけるオオカミ。ところがどっこい、現代建築の家は息ぐらいではびくともしませんでした。

長いこと練習すれば、できると思ったんだ。だって、あのブタたちの話って、ずっとむかしのことだろう。そのころからみたら、いきをはく方法だって、ずっと進歩しているんじゃないかな。科学の驚異、とかいうやつさ」

「練習」とか「進歩」という言葉が出てくるオオカミ。まるで現代人の風刺画のようです。

次に登場したのが、ふいご。

「『このふいごを、適切に使用したる場合は、時速四十マイルそうとうの風力をおこすことが可能なることを、保証する。』どうだい、ポリー、保証つきだぞ」

オオカミはうれしそうです。でもやっぱりうまくいきません。

「へっ、何が保証する、だ」

とぶりぶり怒るオオカミ。

そのあとに取り出されたのが、小がたの西洋カボチャみたいなもの。

「それ、なんなの?」

ポリーはおもわず、みをのりだしました。

「爆弾だよ」

オオカミが、あたりまえのことみたいな口調でいいました。

しかしその説明書を、「保証つき」という文字を見たとたん不機嫌になり、ポイと捨てます。

そのせいで使用法が分からなくなっても、後のまつり。オオカミは、

 

「どこかの男の子に、あげようか。ほら、なんでも分解してみたがる子って、いるじゃないか」

と言い出す始末。

最後に、ポリーの家にえんとつがあることに気づき、「さいごにそうじをしたのは、いつごろだい?」とたずねます。けれどもポリーはいつものようにハッタリをかまし、オオカミを退散させることに成功します。

本当に落語みたいです。

 

次回は『七ひきめの子ヤギ』です。お楽しみに。