中高生に伝えたいこと。「本との出会い」(2021/03/09)

事務担当の梁川です。

高校生活最後、卒業式の日に、担任の先生が言った言葉が今でも想出されます。
「本をたくさん読んでください」と。
かなりご高齢の、数学の先生でした。

今思うと、それは、よき本と出会って下さい、とも言いかえられるような気がします。

高校の時、国語の教科書に載っていたのは、大岡昇平の『野火』か『俘虜記』の一部分だったと思います。そのことを思い出したのは、ずっと後、大学院生くらいになってからでした。
私の行った大学は理系の大学でしたが、そこには哲学や文学の授業があり、先生方がおられ、そのことがとても有り難かったです。たまたま文学の授業を受けたり、文学の先生のお手伝いをするようになってから、東西の色々な小説に出会いました。その中の一つが、大岡昇平でしたが、そのとき上記の作品をじっくりと読んで、心の底から感動したことが、自分の財産になっています。

読んでいる最中、あるシーンで既視感を覚えやっと、「そう言えば、高校の教科書に載っていたな」と思い出したのでした。逆に言えば、高校で断片的に扱っただけだと、そのくらい印象が薄れてしまっていた、ということになるのかもしれません。受験勉強の中で、益々印象が薄まっていったのでしょう。
学校では一度にたくさんのことを学びますが、ひとつひとつをじっくり深める機会が少ないことが、かえって勉強をつまらなく、よくわからないものにしてしまうことがあると思います。

山の学校の中高生クラスには、じっくりと本と向き合える中高生クラスがあるのが特徴です。勉強は、楽しむことが基本、とも言えますから、「深めるからこその楽しさ」にハマる時間というのは、とても大切だと思います。それを自信にし、他の教科にも好影響をおよぼしていく様子が、山の学校の生徒さんの中には見かけられます。

中高生のみなさん、日々の勉強で忙しいかもしれませんが、是非立ち止まって、色々な本と出会い、感動する体験を味わってください。