西洋古典を読む(中高生)2021/2/17

福西です。

ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。

第6巻467-476行目を読みました。

(『The Aeneid』(Robert Fagles訳、Penguin Classics、ペーパーバック2010)では、6.543-553)

アエネーアスはディードーの霊と会い、話そうとします。しかしディードーは怒りの睨みで地面を見据えたのち、無言のまま、前夫シュカエウスの霊のところに逃げて行ってしまいます。アエネーアスは涙を流しながら話すことを諦めます。

A君の次のコメントが印象的でした。

「過去と向き合わない限り、過去・現在・未来という時間の区分は生じない。現在を生きることはできない。また、未来を思い描く限り、過去と向き合うことは過去にとらわれることにはならない」

冥府下りは、アエネーアスにとっては、心の中の旅でもあるのだと思います。

次回は、アエネーアスがトロイア戦争での戦友たちの霊と出会います。