西洋の児童文学を読むB(中学生)2021/2/5

福西です。

『モモ』(エンデ、大島かおり訳、岩波書店)を読んでいます。

第10章「はげしい追跡とのんびりした逃亡」の受講生たちの要約です。

Hisatomiさん

ベッポはモモが、灰色の男たちに連れ去られたと思い、ジジに知らせに行く。ジジもうろたえ、事の重大さを思い知る。モモは灰色の男たちに追われているとは夢にも思わず、ゆっくり前進する。さかさま小路を通り、どこにもない家につく。どこにもない家からは、素敵な合奏がきこえてくる。灰色の男たちはモモを捕えることができず、悔しがる。

Itoさん

ベッポはモモを守ろうと急いで円形劇場に行ったが、モモはいなかった。ベッポは今までのことを全部ジジに話した。そのころ灰色の男たちはモモを探し見つけたが、モモには追いつけなかった。モモは昼でも夜でもない不思議なところにいた。かめにずっとついていくとある建物についた。かめにつづいて小さなドアの中に入った。

Oguraさん

ベッポが円形劇場あとにかけつけた時、モモの姿はなかった。そのころ、灰色の男達もモモを見つけ出すのに苦戦していた。そんな事を知らないモモは、カメの文字にしたがい、進んだ。灰色の男達はモモが「時間の境界線」に向かって進んでいるという。モモは、カメの目的地、《どこにもない家》にたどりついた。

Sakashita君

灰色の男がモモを捕えようとしていることを知ったベッポは、モモを守るために円形劇場へ向かった。灰色の男は、モモのいない円形劇場を捜索する。モモはその時、カメにつれられ、大都会にいた。あらされた円形劇場を見たベッポは、ジジに伝え、二人は不安になる。モモはカメによってある建物につく。

Sawada君

灰色の男はモモを捕り逃がし、ベッポもまたモモと会えなかった。灰色の男ははげしい追跡を行うが、少し先のことがわかるカメに導かれているモモを捕えられない。またベッポはジジにモモがさらわれたと訴えるもジジに否定された。そしてモモは、灰色の男をかわし、「さかさま小路」にあるマイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラの家につく。

モモを追跡する灰色の男たちは、次のように本部に報告します。

「まるで──どう言ったらいいでしょうか──その地区は時間の境界線ぎわにあるみたいで、子どもはその境界線に向かっていきました。」(p170)

この「時間の境界線」について、Oguraさんが図解してくれました。

まんなかが人間の居場所、その外側がホラの居場所。その間に境界線があります。

なるほど一目瞭然だと思いました。

また、Sawada君が次のようにコメントしてくれました。

「時間は、光のように、気付くことでどこにでもあり、気付かないとどこにでもないもの。今回、モモが大都会のある街角を曲がると、ふと現れた時間の国への入口は、一つに『ここ』と決まっているわけではなくて、どこにでも開きうるものだ」と。

そのコメントと照らし合わせて、Oguraさんの図は、全方位に時間の国への道が開かれているという表現になっています。一本道ではなくて円で描かれていることで、目から鱗でした。