福西です。
『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)の2章「フランス語の授業」を読みました。
メイドがいることや、立派な衣装を持っていることで、セーラは他の生徒から羨望されます。
一方、それまでミンチン先生の<ご自慢の子>だったラビニアから嫉妬されます。
ミンチン先生から渡されたフランス語の教科書は、セーラには簡単すぎました。母がフランス人で、フランス語を使った生活をしていたからです。そのように説明しようとしますが、ミンチン先生はセーラの話をまともに聞いてくれません。
(ミンチン先生は)セーラがフランス語をまったく知らないものと思いこんだらしいのですが、その思いこみがいかにも強そうでしたから、まちがいを正したら、失礼にあたるような気がしました。
──『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)2章
このセーラの遠慮があだとなります。
ミンチン先生は、フランス語に劣等感を持っています。その自己の視野で、セーラもフランス語が苦手だと思い込んだのでした。セーラの口ごもりを「強情」と受け取り、フランス語の先生に「セーラが授業を嫌がっている」と話します。困ったセーラは、そうではないことを流暢なフランス語で説明し、誤解を解きます。教室に驚きと、忍び笑いが広がります。立場をなくしたミンチン先生は、「静かになさい!」と高圧的になります。
ミンチン先生は、セーラが何か言おうとしていたことも、言えなかったのがセーラのせいではなかったことも、わかっていました。
──『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)2章
しかし、わかっていても、ミンチン先生は自分を正当化しました。赤恥をかかされた被害者だと思い込み、セーラを憎むようになるのでした。